廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

総工費22億円 岐阜県 日本まん真ん中センター

税金だー!ハコモノだー!

総工費22億円!施設維持年間3000万円!

 

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ハコモノ施設大好きな岐阜県の中でも最強・・・というか全国的にも最強レベルなハコモノ施設なんじゃないかな。

 

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 こんにちは。

今回は岐阜県郡上市美並町にある日本まん真ん中センターをご紹介。

日本まん真ん中センターとは1995年の国勢調査にて日本の人口重心が美並町の前身である美並村となったことを記念して総工費22億円を掛けて建てられた公共施設。1997年の4月にオープン。日本の中心はここだと言わんばかりにPRする、いわゆるハコモノ行政のノリで作られた観光スポット。地域住民向けに多目的ホールと図書館も併設されている。東海北陸道美並インターに隣接されている好立地で大型バスも収容可能な巨大駐車場も完備している。

 

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日本には真ん中を自称する市町村が多数存在するが、ここでは人口重心という人口の釣り合いを根拠にしている。このヤジロベーのようにちょうど釣り合いが取れている場所がここだそうだ。

 

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いささか平日の夕方と意地悪な時間であるがガラガラな駐車場。

ここには結構な頻度で訪れているがいつもガラガラ。昼間なんかはサラリーマンが社用車で昼ご飯を食べていたり、昼寝をしていたりといった休憩スポットになっている印象。

 

特徴的な見た目をしているが、これは施設全体が大きな日時計を模しているということ。ちなみに世界最大級ということらしい。最大と言い切らない辺りがハコモノっぽくて素敵。

 

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彼は、まん真ん中おじさんと勝手に命名しているが正式名称は不明なマスコット。一応、博士という記述が施設内にあり、彼のことだと思う。昨今のゆるキャラ然としたものより個人的には好き。

 

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・日本まん真ん中センター

円空研究センター

・図書館

これに多目的ホールを加えたのが施設の有する機能だ。

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入り口には模型が展示されている。ボタンを押してみたが反応は無かった。

ちなみにこの施設は日時計を模していると言ったが、何と上空から見ないと時刻は分からないトホホな設計。もちろん上空から見る方法は施設内には無い。

 

そもそも何で日時計を模したのかと疑問が残るがそこに意味はないのだろう。

その辺りを含めてハコモノ施設は面白い。

 

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館内に入るとインパクトのある光景が広がっている。

日本列島に時計の針がズギャっと落とされている。何と美並町を突き刺しているのではないか。

 

そう、ここは日本の人口重心の中心地、つまり日本のまん真ん中なのだ。

 

 

2000年までは・・・ね。

 

 

日本まん真ん中センター。総工費22億円。1997年オープン。たった3年後の2000年には東の人口増加に伴って隣の関市へ重心が移動。そんな馬鹿な。しかも施設維持費が年間3000万円とはたまんねーなぁ。

 

つまり、ここは日本のまん真ん中を自称しておいて真ん中ではない。日本の真ん中には諸説あるが、少なくとも美並町は真ん中ではないことが確定している。

 

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施設内は90年代のハコモノらしくゴージャスでバブリーな匂いが残る。95年当時はもう不景気であったと思うがまだまだバブルの尾ひれを感じるのも特徴だ。22億円だし。

 

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この絵画なんかもお高いんでしょうね。

 

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館内ではまん真ん中おじさんが日時計について説明してくれている展示が多数存在している。そして、何故この施設が日時計なのかは分からなかった。この関連性の無さこそがハコモノクオリティ。

 

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望遠鏡のボタンは当然の如く反応せず。

そもそも覗いた先にパーテーションみたいに遮る展示物がある。もう全てがズンドコどっこい。

 

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2階へ上がると図書館があり、その奥でおじさんが迎えてくれる。手前のおじさんの傾きが人口重心のズレのメタファー・・・な訳ないか。

 

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上から見る日本列島は壮大だ。

 

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一応2階にも人口の中心をアピールするための体験施設があるもののKEEP OUTが貼られており、残念ながら先へ進めない。美並村は人口のまん真ん中!

 

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凄く楽しそうなゲームですね。アナログなランプとブラウン管が素敵。

 

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本州が剥ぎ取られた日本地図。

 

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素敵な景品欲しかったなぁ。おじさんのキーホルダーでも貰えたのかな。

 

1階へ戻る。

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薬草体験室といってパンフレットでは喫茶店のように健康茶が飲めると解説されていたが開店休業状態だ。

 

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円空研究センター。入場料100円とリーズナブル。ただし、係員は常駐しておらず事務所へ声掛けが必要。節電のため電気も灯っていないのが利用人数を物語っている。

 

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研究センター以外にも円空さんの仏像が点在している。日時計の展示だけでは非常に寂しいため埋める形で展示されていた。円空さんとは生涯12万体もの仏像を彫った方で美並町に所縁があるそうだ。円空さんの仏像と言ったが、正確には円空さんの仏像を模して作ったもので本人の作品ではないらしい。

 

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郡上市といえば郡上八幡。いつ行っても素敵な表情を見せてくれる街だ。美並町は自然豊かで魅力がありそうだが、如何せん周囲に強力な観光地が多く、他と違うアピールポイントが人口重心の中心ということだったのではないかと思う。だからといってこのような施設で人を呼べるかと言えば疑問しかない。

 

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パンフレットも豪華3本立て。ちょうど上から見ると数字があり、日時計としての機能が分かる。

 

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敷地内には施設以外にも様々なものがある。メモリアルパーク完成の植林に1本ずつ記念碑がある所もハコモノらしいなぁ。

 

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施設周囲に庭池があるが、ここも経費削減のためか水が抜かれている。

 

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そうここは美並町、3・7・3でミ・ナ・ミだ。

しつこいくらいにベンチが用意されているが満席になることはあるのだろうか。

ちなみに、この施設の高さは37.3メートルと語呂合わせになっている。この辺りもハコモノ施設っぽくて好印象。

 

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ここが階段になってて上へ登れるとかだったらまた違った見どころになったのではと思う。・・・それでも集客に繋がるかと言われればごめんなさい。

 

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感想

悪い意味でハコモノ施設の魅力が凝縮されており、逆にそれが魅力となっている施設。日本まん真ん中センターという名前に反して真ん中ではないこと、巨額な総工費と維持費、ゴージャスな内装、世界最大級、語呂合わせ、「日本の中心」「円空」「薬草」と関連性のないものの寄せ集め・・・これでもかとズンドコな部分が楽しめた。そもそも最初から日本の人口重心というアピールポイントから無理があるんじゃないかな。でもホントそういう部分含めて楽しいよ。道の駅に改修とかすれば人は集まりそうだけど、古き良きハコモノ施設の代表としていつまでも残ってもらいたいものだ。