2021年現在、リニア新幹線開通にて大問題となっているのが静岡県に流れる大井川の水問題。最近になって廃校巡りに目覚めた私にとってはここ数年で取り壊されてしまった校舎の多さの方が問題だ。
大井川流域においても例外でなく、かつては中流から上流に掛けて多数の廃校があったということだが大半が壊されて更地となってしまっている。今回訪問した校舎はそうした中でも現存する貴重な存在だ。
訪問先は中流に位置する静岡県川根本町。ちょうど大井川鐵道下泉駅近くに今も解体されずに残されている。
大井川鐵道といえばこのようなレトロ車両を中心にSL蒸気機関車や機関車トーマスなどバラエティに富んだラインナップで有名だ。ちょうど私好みの電車が通っていた。
駅から徒歩数分で目的の校舎へ到着する。小高い丘に建てられた白い木造校舎だ。
周辺を歩く。なかなかに立派な雰囲気・・・
・・・と思ったらびんぼっちゃま状態だった。
どうやらここも解体工事が進められている様子。足組が組まれているが当日は人の気配が無かった。
ここからの眺めがいいなぁ。晴れていたらこんな景色だったのかな。編集パワーで妄想が具現化できるいい時代です。
正門があったであろう位置へ。
この建物は廃校後にサンダル工場として再利用されていたということで改装された形跡が多く学校としての面影は少ない。石碑なども無かった。
正門をくぐるとトタン屋根が印象的なアーケードが広がる。学校があった当時は何があったのだろうか。敷地内には廃車からナンバー付きのトラックが残っていた。
良かった、校舎内部は雑多であるが面影が残る。
残留物こそ少ないが確かにここは学校であったのだ。
廃校はやっぱり良い。いつでもあの頃の感情を思い出させてくれる。
それにしても残留物・・・というのか不法投棄された物が多い。その種類は豊富で飽きさせない。このボクシングのゲームなんか私の世代にはビンゴだな。
ここは工場の部分なのか。木目調の床だが鉄筋で組まれ、窓はアルミサッシと校舎とは違う造りだ。機械類は全て撤去された様子で教室と同じく捨てられた物が解体の日を待っていた。
階段は明らかな後付けだ。
木造校舎にとって階段は見所のひとつなんだけどな。こればかりは仕方がない。
1階に比べるとがらんとした印象。校舎とは違う造りと思ったが体育館にも見えなくはないが・・・うーん分からない。
2階の廊下は廃材が敷かれている状態。天井も剥がれている。
教室内部にも足組が残る。1階に比べると残留物は少なめ。
曇天の空だが陽に照らされる部分は美しい。温かみのある木造校舎の魅力を伝えてくれた。
企業ロゴ、レトロというには微妙な電話機、標識・・・・建物からの歴史をダイレクトで感じる。
それでもやっぱり教室が一番かな。
割れた窓ガラスから広がる美しい山々と田舎町。近いうちに解体を迎えるであろうこの校舎はその日まで静かに町を見守る。
感想
冒頭にも述べた通りに2017年頃まではこの近所に2件の木造校舎があったみたいだが既に解体され更地になっている。最近、他県で木造校舎を管理されている方とお話をする機会があったのだが静岡県は耐震の面で保存が厳しいということだ。この場所も田舎町とはいえ集落の中に建てられている。そういった部分でも解体される運命は逃れられないのかもしれない。