秘境駅だらけのJR飯田線。その沿線沿いには数多くの廃村や限界集落が存在している。
今回訪れたのは静岡県浜松市天竜区水窪奥領家に位置する夏焼集落とJR飯田線大嵐駅を結ぶ夏焼隧道。集落は標高の高い場所にあり、安直ながら天空の集落や秘境という異名を持つ。過去のブログを漁ると1名の住人がいるということで廃村なのか限界集落なのかはっきりとしない。大嵐駅にほど近くアクセスは悪くない。ただし後述するが車でのアクセスは注意が必要。
まずはJR大嵐駅を目指す。
大嵐(おおぞれ)駅。
恐ろしい名前とは似つかわしい可愛い駅舎は東京駅を模したということ。飯田線無人駅の駅舎のイメージとは一線を画している。
ここは車でのアクセスが可能で県道から橋を渡ってすぐの場所だ。飯田線名物秘境駅号の停車駅にはカウントされていないものの周囲に民家はなく秘境駅と言っても差し支えはないだろう。ちなみに飯田方面へひとつ進めば秘境駅として全国区な小和田駅へ行くことができる。小和田駅となると周囲に何も無く車でアクセスもできないレベルだ。
車でアクセス可能と言ったが大嵐駅周辺は道路状況から通行止めも多くかなりの迂回を要する場合もあり、注意が必要だ。この辺りは大雨があると当たり前のように法面が崩壊してしまう。この日は佐久間ダムへの道と水窪市街地への林道が通行止めであった。
駅を通り過ぎると2本の長いトンネル夏焼隧道が待っている。長く暗いトンネルは車1台分の幅しかない。対向車が来ないことを祈るばかりだ。
夏焼隧道を通り抜けると林道の終点が待っていた。林道の終点といえば人なんて滅多に近寄らないものだと思っていたのだが、車を停めるスペースがない。画像では切れているが、右側の道路端にも数台の車があった。ここは天竜川ほとりに隣接し、流れも穏やかな場所とあってボートを浮かべて遊ぶ人で人気のスポットな様子。流れが穏やかな理由は少し下れば佐久間ダムがあり、天竜川の流れが塞き止められているためだ。
大嵐駅へ引き返して作戦会議。しばらく考えた末に夏焼隧道を歩いて集落まで向かう決心をする。
夏焼隧道。ここは全長約100mmの夏焼第一トンネルと全長約1200mmの夏焼第二トンネルで形成されている。形からピンと来た貴方は鉄道マニア。もともとは飯田線が走っていたという鉄道のトンネルだ。ちなみに私は分からなかった側の人間。
上が第一トンネルで下が第二トンネル。内部の形状に違いが見られた。
とぼとぼ歩いていると遠くでエンジンを吹かす音とハザードランプを点滅させた車が目に飛び込む。
・・・脱輪していますね。(画像ブレブレだけど)
そう、これが注意その2。このトンネルは暗く細い上、側溝に蓋もない。こんな場所でこんなトラブルは誰でも避けたいもの。
運転手と思われる方とすれ違う。声を掛けようと思ったが凄い勢いで走り去っていたため、タイミングを逃してしまった。きっと電波の届く所で警察とJAFへ連絡でもしているのだろう。車内にも誰も残っていない様子で少し後悔をする。乗用車ならギリギリ通行できる幅かと思うがさっき林道終点に車を駐車していたらと思うとゾッとする。
さて、話を戻して・・・トンネル内は薄暗く冷りとした空気と天井から滴る地下水が非日常を演出してくれている。照明も存在しており、視界確保には困らないが歩く際は車に自分を知らせる意味で懐中電灯を持っていると安心だ。
照明は数年前までは設置されていなかったらしく、肝試しのスポットだったとか何とか。どこの土地でもお化けトンネルと呼ばれる場所があるくらい心霊スポットとして定番だが、この長さは怖すぎるかな。吊橋効果は抜群と思われる。
直線距離の1.2km・・・
出口は見えているが歩いても歩いても距離が縮まっている気がしない。半分程歩くと壁に出口までの距離が記されていることに気がつく。ゆっくりながら確実に距離は縮まっていた。
ちょうど半分のところ。
出口が見えて来た。差し込む光が美しい。
数十分前に車で来ているのだが歩いてみると違った景色に見えるから不思議だ。
振り返って見ると果てしない長さだ。
林道の終点にはまだ多くの車が残っていた。見かけた人へトンネル内に脱輪した軽自動車があることを伝えておく。
そしてここから夏焼集落を目指す。
感想
本来ならば林道終点に駐車する予定であったが停められず大嵐駅へ引き返した。そのまま帰ろうとも考えたが歩いてみて正解だった。普段歩かない場所を歩くのは良いものだ。心霊スポットととしての側面もお化けよりも脱輪の方が怖いかな。探索のリスクについて改めて考えさせられる一日であった。あとは撮った写真がブレやゴーストで使い物にならない物が多数あったのは己の腕を恨むしかない。こうやって記事にまとめてみると欲しいカットとか浮かぶのだが、、、、反省は次に活かそう。