かつて日本中に存在した観光スポット秘宝館。
秘宝館とは性風俗に関する物品を陳列している、言わば性のテーマパーク的な施設である。70〜80年代に興隆を極めたものの90年代に入ると客足の減少もあり、多くの場所で閉館が相次いだという。現在、小規模で他施設と併設されているような場所を除けば熱海秘宝館が日本で唯一の秘宝館となっている。
山梨県には元祖国際秘宝館という日本でも最大規模を誇った秘宝館が存在した。元祖国際秘宝館とは三重県鳥羽市に本館のあった秘宝館のパイオニア的存在。山梨県にも81年に石和館としてオープンさせたものの、86年に閉館と短い生涯だった模様。キャラクターの秘宝おじさんでお馴染みだ。
それとドン・キホーテが何の関係があるのかというと、この店舗はなんと元祖国際秘宝館石和店をそっくりそのまま居抜きで出店した店舗なのである。
日本全国、様々な居抜き店舗があるかと思うが秘宝館の居抜きとは珍しいにも程がある。そんな元秘宝館のドン・キホーテいさわ店が2021年6月20日に閉店(移転)となった。
たまたま閉店当日に山梨県へ用事のあった私は訪れることとした。
この堂々たる佇まい・・・
アラビアンナイトやタージマハルを彷彿とする造りであるが、どうも下品さが隠しきれていない。場末のラブホテルみたいだと言われればそれでおしまいだが、まさか秘宝館だったとは思うまい。
ドン・キホーテの下品さと建物の下品さが妙にマッチしていると思うのは私だけだろうか。むしろ違和感がない。ドンキも秘宝館もどこかいかがわしい部分が魅力の根底にあるのが似ている。
この丸みを帯びた窓や柔らかい曲線の外観に昭和の面影を感じる。塗装なんかは流石に改修したのだろうが紛れもない昭和の建物だ。
定礎では2003年とあり、ちょうどドン・キホーテがオープンする年だ。
ドンキのマスコット、ドンペンくんもアラビア風。18年間お疲れ様でした。。
中東の雰囲気を感じる装飾。よく見るとタイル貼りだ。ドン・キホーテの他にもネイルサロンなどの店舗もあった模様。
どこからどう見ても建物の正面だが、こちら側から店舗へ入ることはできない。裏へ回る必要がある。
入り口側から見ると割と普通な感じ。1階部分は増築したような形跡あり。
増築していない部分の窓を見てもらうと、丸みを帯びて装飾を施された正面と違って至って簡素な普通の窓だ。正面には拘って見えない部分は手を抜いているのも昭和の建物だなーとしみじみ思う。
店舗内に入って秘宝館の面影を探してみたが大した収穫は得られず。
閉店セールとあって安い物もあったが移転先でも売れるような物は大した値下げもない様子だった。
ドン・キホーテ隣にはリサイクルショップがあった。この店舗も年季を感じる造りでおそらくパチンコ屋の居抜きではないかな。
さて、このかつて元祖国際秘宝館だった建物。次はどんな運命を辿るのだろうか。
2023.12/13追記
何かアクセスが伸びていると思ったら跡地がカインズホームになるみたい。おそらく解体されるかと思うので、見物に行きたい方は早めの訪問をオススメします。