廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

須坂ショッピングセンター・パルム 長野県須坂市

消える昭和のショッピングセンター

須坂ショッピングセンター・パルムは長野県須坂市にある複合商業施設。

いわゆるテナントが空きだらけのデッドモールとして有名だった場所。2024年の春先に閉鎖の検討が報じられ、5月に入ると秋に閉鎖の方針へと報道された。実に開業から55年の歴史に幕が下りる形となる。

 

JR須坂駅から徒歩5分の位置にあり、かつては地元商業の中心として賑わいを見せた。

1969年に開業。1階が店舗、2•3階が住居を備える須坂市で初めての大型商業施設。増床・増築を経て現在の姿となった。食料品や衣料品の大型スーパーを中心にボウリング場など最盛期は40店舗ほどのテナントが営業していた。

 

1980年代になると近隣でもジャスコ等の出店が相次ぎ競争が激化。

1990年代後半の各テナントである食料品と衣料品のスーパーの撤退から集客に苦戦して今日に至る。現在では10店舗のみ営業を続けている状況だ。

 

この日の営業終了は20時とあるが18時過ぎで開いている店舗は皆無の状態。

 

自転車乗入れ禁止の看板。

 

空きテナントの前に置かれた椅子と貼り紙。

・・・そしてパルムといえばあの貼り紙が有名だ。

 

もはや伝説となっている犬の散歩を禁止する貼り紙。こんなショッピングセンターは日本を探してもパルムしかないだろう。

 

1階フロアでは奥に見えるベトナム国旗を掲げた店だけが営業していた。

 

パルムの特徴といえば天井にあるガラスドーム。

夜だと何の意味もないが、昼間は開放的な気分で買い物を楽しめる。1991年に改装したということ。

 

天井を見ると雨漏りなのか所々に染みが目立つ。

 

中央付近にあるサービスセンター。

 

住居部分への階段。

ベトナム国旗の店では外国語が飛び交っていた。

 

昔ながらの八百屋の店先。

 

ホームラン亭というラーメン屋。

全国的に有名なホームラン軒とは違うみたいだが、行列のできる人気店だ。

 

裏口の様子。

この辺りは増改築されたのか2階フロアにテナント、3階フロアに式場を備えていた。

 

外にはパルムの看板。

 

写真だと伝わりにくいがドアのガラスは抜けたままだった。

 

式場前ということで少し毛色の違う装飾。

 

式場の営業も終了。
以前は3階フロアがボウリング場だったみたいだ。

 

2階フロアではラーメン推しの居酒屋の営業を確認。

 

この辺りは昼でも営業している店は無さそうな雰囲気。

 

ここにもある犬の散歩を禁止する貼り紙。

 

この階段は1階のフロアと繋がっている。

 

大型の駐車場も完備しているが発券機が壊れたままとなっていた。

 

パルムが閉鎖となる決め手になったのが設備改修費の捻出だ。

これだけ空きテナントがあると資金繰りも苦しいことだろう。現状でも改修が追いついていない様子が見受けられるが、消防設備の致命的な不備が決定打となった。

 

閉鎖に向けた問題としてパルムは権利関係が複雑となっている。

ビルの住居と店舗の土地、建物はそれぞれの店や住人が所有。今後について組合は関係者に方針は伝えているが具体的な内容は言えないと回答している。土地や家屋の権利関係のトラブルは昨今あらゆる場所で取り沙汰されていることでも分かる通り簡単に解決できないだろう。

 

このまま難航せず閉鎖へ至るのか注目して秋を迎えてみたい。

イオンモールでさえ規模や立地によっては淘汰されてしまう時代。昭和を引きずった商業施設が生き残るのは茨の道なのかもしれない。

 

実はこの翌日にもパルムへ訪問している。

営業中の顔が気になったため、予定を変更して2日目を迎えた。

 

夜のシャッター街より昭和の面影を強く感じる店内。

 

昼のパルムもシャッターこそ目立つが、買い物客の姿も思ったより見かけた。地元民に愛されている店が多い印象。衣料品なんかしま◯らよりも激安で驚いた。

 

ホームラン亭は開店前にこの行列!

 

昼食に50年続く老舗のかねきを選んだのだが、開店して間も無く満員御礼。これだけの人気店があるとは思ってもいなかった。

 

名物のオムライス。

大盛を頼むとこの2倍となり、かなりのボリューム。地方から訪ねる者も多いと聞く。

昼の様子は閉鎖が確定したら完全版として記事にまとめてみようかなと思う。そして閉鎖までにもう一度くらい行ってみたいものだ。