廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

愛知県 豊橋市 水上ビルを歩く

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愛知県西の中核都市である豊橋市

1960年代からまちなかの象徴として親しまれていた商業ビル群の総称が水上ビルである。

名称は農業用水路の上に建てられたことに由来する。水上ビルの歴史を辿ると戦後の闇市からはじまっている。

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闇市から青空市場への転換を経て行政主導のもと商業施設へ移転となったのが水上ビルだ。

この移転の際に当初は木造の商店街が建設された。しかし、美観と防災の観点から再開発となり現在の場所へと再移転となっている。

その際に豊橋駅前に移転用地が確保できなかったため、苦肉の策として農業用水路の上に建設されたというわけだ。

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用水路の上に沿って建てられているため曲線を描く形で建物が存在している。

 

そんな複雑な経緯を持っているためか権利関係が複雑で、水路は水資源機構、土地は豊橋市、建物は企業・個人などとなっているため建て替えは困難となっているそうだ。

 

場所は豊橋駅から東口を出てから南にすぐの位置にある。

水上ビルは西から順に大豊ビル・大豊ビル・大手ビルの3群から形成され、それぞれ所有者が異なる形だ。

 

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豊橋ビル周辺。ここに限らず水上ビルは1階が商業エリア、2階以降は居住エリアとなっている。

 

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個人的にここの豊橋ビルが一番好きだ。


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唐突に現れるガンダム


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昭和然とした看板たち。


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全国約150店舗の中で最も西にあるくるまやラーメン。

おそらく激レアなロードサイドでない店舗だ。看板もお馴染みのロゴではないのもポイントが高い。

私のおすすめはネギ味噌チャーシュー麺。チェーン店だが店舗によって微妙に味が違うのも楽しみのひとつだ。

 

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現代風でお洒落なロゴのある大豊ビル。

ここのエリアは新規出店の若い店が多く、列を成している店もあった。

 

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水上ビルはアートとも密接な関係にある。

地元有志が水上ビルを舞台に企画したアートイベント「Sebone」は定期的に行われている模様。

Seboneとは水上ビルを上空から見ルト背骨に見えることが由来となっている。ビルの側面には壁面アートがあり、数年前に訪れた時と絵が違うことから定期的な塗り直しが行われている。

 

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数年前に話題となった愛知トリエンナーレ豊橋会場にもなったそうだ。

 

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若い店の出店もそうであるが、水上ビルの持つ独特な魅力というのは地元の人間も感じているのだろう。

近年では商店街の若返りやシャッター街復興の活動が増えている。水上ビルに限らず商店街の持つ魅力は確かに存在しているのだろう。

 

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水路に沿った緩やかな曲線が美しい。


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駅側の通りに比べると南側の商店はシャッターが多い印象だ。

 

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ちょっぴり手塚治虫タッチ?なワンちゃん。

 

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この駐車も芸術的だ。

 

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そうそう。ここは問屋街でもあり、豊橋を象徴する花火問屋も複数軒があり個人客でも買い物をすることができる。

菓子問屋もあり、豊橋といえばブラックサンダーでお馴染みユーラク製菓のお膝元だ。ただしここでは駄菓子界の絶対王者うまい棒が目立っている。

 

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歩道橋を越えると大手ビルが待っている。

 

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ちなみにこの歩道橋、手すりの位置がかなり低くて渡るのがちょっぴり怖かったよ。

 

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歩道橋の上から見える景色。

 

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大手ビルは駅から最も離れた立地のせいか空きテナントが最も多かった。

 

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居住区は人が住んでいるのか分からなかった。人気少なく寂しい印象だ。

検索してみたが募集見当たらず。1階の店舗は8万円からと立地を考えると格安だった。


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以上。

水上ビルの持つ独特で強烈な魅力が伝わっただろうか?

 

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豊橋市は水上ビルに限らず昭和文化がそのまま令和の世に残っている場所が数多くある。

 

いつ失われるか分からない文化。

この甘党トキワも大判焼きがとても美味しい店だったのだが閉店となってしまった模様。


いま行かなければ二度と見れなくなるかもしれない場所へ。私の旅は終わらない。