帰還困難区域の現在③ 福島県双葉町 - 廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜
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帰還困難区域を含む東日本大震災の遺構を巡った帰り道。
再び廃墟と化した国道6号線を東京方面へ上る。本来は寄る予定はなかったが、ふと目に飛び込んだ郵便局跡地の方向へ自然と吸い寄せられた。
先日の探索では日没時間の関係で切り上げたこともあり、まだまだ双葉町を歩き足りないということだ。
駅から数百メートルの地点に無料駐車場を発見。
併設されたトイレの時間は止まり藪で覆われていた。その隣には放射線量を計測する機械があるものの駐車場自体があまり使われていないのか同じく藪で覆われている。
駅前から少し離れた市街地。
見える景色は既に見慣れてしまったゴーストタウン。
まだまだ綺麗な建物も多い反面で完全に倒壊してしまっているものも少なくない。
三者三様の自販機たち。
おそらく人生で一番自動販売機を撮った数日間だった。
10年前の自動販売機、ところどころ懐かしいデザインを見られるのが面白かった。変わり映えこそしないがどこか違和感を覚える。自販機に限らずプロダクトデザイン全般にあまり変化のない10年だったと思っていたのはきっと齢のせい。そういえば10年くらい前にあった太陽のマテ茶が好きだったな。登場はもう少し先の話か。
双葉高校前の停留所は平成に取り残されていた。
福島県立双葉高校。
この周囲では二番手に位置する名門高校だったらしい。
ここ出身の元町長が原発誘致に積極的だったということ。
震災当日は体育館が避難場所隣、翌12日に福島第一原発の爆発音が響いたという。
2015年に福島県立ふたば未来学園高等学校の開校に伴い休校。震災後はいわき明星大学を間借りする形で開校していた。
無人の町だが車とは何度かすれ違う。
工事車両より防犯パトロールのステッカーが貼られた車を目にすることが多い。
未だに民家に侵入して悪いことをする輩がいるようで治安を保つためだろう。そして、側から見れば私も立派な不審者であることは容易に想像できる。善良な市民ですよ。
商店の片隅を彩るのは煙草のポスター。
最近ではすっかり電子タバコに置き換えられた気もする。この頃はまだ存在もしていない。
不謹慎かもしれないがディストピア具合が凄い。
フィクションのようだが、アニメじゃないアニメじゃない現実なのさ。
とりあえず目的地にしていた郵便局。
国道を走っていた時には目に留まった建物。ほんの少し歩いただけで見慣れた景色に変わっていた。
長くなりそうなので次回へ。