渋すぎる木造アーケード市場
現存する木造の全蓋式アーケードは貴重な存在だ。
今回紹介するのは寿マーケットという小規模な全蓋式木造アーケード。
上の写真はマーケットの外観であるが、一見すると普通の家屋でどこが入り口なのか分からない。
しかし、一度足を踏み込むと広がるのはワンダーランド。
外から見た印象とのギャップが凄い。狭い通路に商店の跡がひしめきあっている。
天を仰げばトタン屋根から降り注ぐ光が見える。
しかし、日没近くだったため通路はかなり薄暗い状態だ。
入り口に戻る。さて、この空間をどう攻略しようか。
結局考えても結論は出ず。
目の前にある物だけを信じよう。このタバコの自販機は250円。値段の推移を見ると98年〜03年の価格だ。少なくとも20年は動いていないことが分かる。
もうひとつの通路へ行こう。
こちらも中々の狭さ。
かなりの年代もの物件ということで頭上注意の貼紙あり。
それでもこの手の木造アーケードではかなり状態が良いと思う。
奥にあるのは共同トイレだろうか。
反対側の梯子は形を保ってはいるものの、登るのに勇気が必要だ。
現在、営業している店はほとんど無さそう。それでも一部から生活音が聞こえ、住んでいる方はいらっしゃる様子だ。
ゲージの中には信楽焼の狸がちょこんと佇む。
狸は「た」を「抜く」ということで商売繁盛の縁起物。役割を終えて悲しげな表情をしていた。
今は懐かしい二層式の洗濯機。グリーンのカラーも実にレトロ。
17時を過ぎると外灯が光る。
二階の住居部分も面白い構造だ。・・・ん?
よく見ると凄い屋根の支え方しておりますね。
店舗前の装飾も見所のひとつ。マーケットと呼ばれているが、何となく飲み屋が多そうな印象を受ける。
短いアーケードの終点。二つの通路が繋がる場所。
マーケット内はコの字というのか、凹こんな感じの形状。見て分かる通りに真ん中の店舗はかなり極小。
こちらは魚屋の跡だろうか。
マーケットというくらいだから飲み屋以外の専門店も軒を連ねていたことが分かる。
反対側の通路。
浜というスナックの看板は新しめに見えるが営業しているのだろうか。
こちらの通りは入り口のタバコ自販機以外に目立つ残留物は少ない。
以上で寿マーケットの探索は終了。
日が暮れていく中だが次の目的地へ急ぐ。
それにしても良い物件だった。
この日は2泊3日の関西遠征の2日目。初日からここまで思い描いた通りの写真が撮れずに四苦八苦していた。しかし、ここを訪れてみると今までの憂鬱が吹き飛ぶ気持ちでシャッターを切った。ひとえに良い被写体となってくれた事に感謝をしたい。ありがとう。