廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

アーケード名店街 沼津市

さよならアーケード名店街

以前にも記事で取り上げた沼津市のアーケード名店街。

24年の春に再開発が本格的に始動し、29年に新ビルの竣工が予定となった。すでに住民の引越しは開始され夏頃には解体工事に着手するということ。

 

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アーケード名店街は1954年日本で初めての公共歩廊を擁する共同建築様式の商店街で木造建築の多かった街の延焼を防ぐ防火帯としても役割も担っていた。当時の最先端でモダンな外観を有し、駅前に百貨店ができるまでは街の中心商業地であった。20年前から再開発の話はあったそうだが、地権者との合意形成に難航し完成から70年の節目に当たる今年まで時間を要した。

 

アーケード名店街を象徴するアーチとももう少しでお別れと思うと寂しい限りだ。

 

日曜の昼下がり、ただでさえシャッター街だったのに再開発が決まりさらに加速した様子。ゴーストタウンそのものだった。

 

アールがかったビルの端が当時の面影を残す。

ビル自体がアーケードの屋根代わりとなっており、この規模で見れる場所は日本をさがしても数少ないはず。写真右側は足場が組まれており再開発の進行を予感させる。

 

久々に来たが惚れ惚れするほどかっこいい老齢ビルディング。なくなってしまうのは惜しいなぁ。

 

個人的に一番好きな位置から撮影。

住人の引越しが始まったとはいえ営業している店もちらほらあり。

 

70年前から変わっていないと考えるとそこまで古くは感じない。そういう部分は当時の最先端だった所以か。

 

このビルもいい形しているなぁ。

 

ここらで終点。相変わらず骨組みだけになったアーチが残っている。

 

せっかくだからもう少し歩こう。

以上が沼津市にあるアーケード名店街。

残念ながらもうすぐ見納めとなってしまう景色。後世に残したい現代日本の原風景のひとつ。近年では店主の高齢化や後継不足にコロナ禍が加わり約半数が営業していなかった様子。当事者からすればどちらが幸せかと考えたら仕方のないことであるが、解体によって味気のない街へと変わってしまうのが残念でならない。