メルヘンちっくな駅前商店街
この出会いは偶然か必然か。
昭和の忘れ形見のごとく異彩を放つ場所に訪れた。そこは長野県佐久市のほぼ中央に位置する中込の駅前にある。
JR小梅線の中込駅。
昔から小梅線の中心駅として扱われているが、現在では北陸新幹線の接続駅である佐久平の方が栄えているように見える。駅という字が外灯で隠れてしまっていることに我ながら写真の腕が成長していないなと呆れてしまう。
広々とした駅前ロータリーから見える年季の入ったビルディング。
ここから続く商店街の歩道路が「グリーンモール」となっている。
ざっくりと概要。
昭和48年に駅前の区画整理と商店街の近代化事業を実施し、その中核として行政と住民のアイデアによって生まれたのが「グリーンモール」と呼ばれる歩行者専用道路。全長412m、幅18mの駅前からT字形に伸びている。モールの半分に農業用水を分水して人工のせせらぎを作っているのが特徴。昭和62年には建設大臣より「手作り郷土賞」を受賞したほか、全国各地から視察が相次ぎ、画期的な商店街として注目を集めたということ。
40年前の最先端も今や味わい深い物件へと変貌している。
ほとばしる昭和レトロな空気に愛おしさすら感じるほどだ。
反対側は小規模なビルの集合体。
酒屋さんや陶器店など昔ながらの店が多い印象。
喫茶店も多くあり、地元民の憩いの場として機能している様子が窺える。
今や絶滅危惧種となった地元専用のポイントカード。21年に20周年を迎えたみたいだ。
これは凄い!
擬洋風建築を模した見事な喫茶店。この近くには旧中込学校という重要文化財があり、そこがモチーフだと思われる。
ちなみに当日は休館日・・・無念!
本当はこっちをメインで中込を訪問したのだけどね。
横断歩道を渡って次のエリアへ。
右手に見えるのはサングリモ中込という図書館などのあるコミュニティセンター。かつてはパラスいちかわという商業ビルだった場所。
老齢ビルディングとは不釣り合いな真新しい人工芝とベンチのコントラスト。
どことなく清里の駅前を思い出すファンシーな世界観。
時計台のあるビルはグリーンモールセブンと看板がある。
悲しいくらいにスカスカのテナント。この擬洋風とも違うメルヘンでファンシーな洋風建築でしか得られない栄養ってあると思います。
グリーンモールセブンの前にレアなマンホールが!
佐久市は北斗の拳原作者である武論尊先生の出身地ということで北斗七星のごとく七つの北斗の拳マンホールが存在している。中込はセクシーな衣装のユリアさん。悪い人ではないけれどサークルクラッシャーよろしく男たちが抉れる元凶でもある人。
地下道を渡って次のエリアへ。
この地下道もカラーリングや床の装飾から昭和の香りが凄い。
地下道を抜けると人工のせせらぎのあるエリアとなる。
太陽のマークが特徴的なサンテラスと看板のあるビル。このビルも強烈な昭和感が凄いなぁ。剥がれ落ちて「ンテラ」となっているのは見なかったことにしよう。
1階がテナントで2階は駐車場になっているみたいだ。
地下道周りの店も要チェック。
可愛い看板の帽子店。
我が生涯に一片の悔いなしと叫びたい武論尊氏黙認のラーメン店。
サンテラス前のせせらぎは干上がっていたが、ここからは水が流れている・・・というのか貯まっていると表現するのが適切か。
街全体として曲線を取り入れた洋風な香りは変わらない。
こちらのビルもアーチ状の窓が特徴的。
巨大な花を描いたブロックの隙間から生える雑草。さっきの真新しい人工芝より似合っていると思ってしまうのは私だけだろうか。
この辺りも干上がっている。
この辺りは完全な車社会のため便利で必要な物は郊外に揃っている。かつては時代の寵児だったグリーンモールも時代の流れには逆らえなかった様だ。
せせらぎ部分には橋もあり散策を楽しめる。
濁っていたり枯れていたりと人工の水路の限界を感じるが・・・。
佐久平駅のように駅を出てすぐの場所にイオンモールは無いけれど私みたいな人間からするとずっと魅力的であることに間違いはない。それでも平成以前はイオンモールみたいな立ち位置だった場所のような気もする。
長野県って山の多い土地柄なのか、それぞれの町が独自な発展を遂げている場所が多い。中込はその中でもトップレベルでオリジナリティがある町だと思う。旧中込学校が休館日でがっかりしたが、そんなもの吹き飛ぶくらい充実した日を過ごせてハッピーでございました。