いざいざ奈良。
奈良は、行くからおもしろい。
奈良県の中心といえば近鉄奈良駅と奈良公園の間となる「ならまち」が有名だ。
世界遺産の元興寺もあるが、なにより風情ある街並みが最大の魅力だろう。そこら中に重要文化財ものの家屋が建ち並んでおり、オシャレな店も数多く出店されている。
そんな中で一際、異彩を放っているのが椿井市場。
この佇まいである!
外観からして渋さ全開となっているこの市場。
もちろん中に入ってもそれは変わらず。
昭和レトロでノスタルジー溢れる空間が令和の世でも味わうことができる。
すでにホクホク顔になった私だったのだが・・・。
まさか、これが前座に過ぎないとは。
この奥がさらに凄いことになっていた。
木造トタン屋根のバラック然とした商店街。
奈良は空襲を免れた土地であることから、謂わゆる戦後のドサクサ的な市場とは違うかもしれないが、淀みない純粋な昭和空間が広がっている。
この風格漂う手書きの看板。ここが「本物」であることは間違いないはずだ。
椿井市場は明治創業の歴史を持っている。
入り口付近の店舗は火災で建て替えている経緯があり、商店街の途中から雰囲気がガラッと変わっていたようだ。
先へ進んでも寂れたムードは止まらない。
アーケードはそこら中に穴が開き青空が覗いていた。
店舗に注目すると居抜きで別の店に変わった形跡はほとんどない。それぞれが細分化された専門店ばかりになっている。それも日常生活用品の店ばかりなのが凄い。まさに昭和の原風景そのままだ。ここまで洗練して寂れた商店街はなかなかお目にかかれない。
店舗の間には路地があり、住居の出入り口となっている。
最近広告で目にする「土地空間を活用する狭小住宅」という謳い文句もこのバラック達には勝てまいだろう。
稲荷神社。
商売繁盛の神社ですかね?
落書きは見られるが現役の商店街らしく管理は行き届いている。
解体された店舗もある状態で、商店街に入居している社会福祉法人が畑として使っている区画もあった。
店舗跡を覗くと残留物が残る。崩壊した天井が生々しい。
私が行った時は同好の趣味人とは出会わなかったが、観光客はそれなりに足を踏み入れていた。それにしてもピンクの服の人はよく写っていますね。
外から見るとこんな感じ。敷地内に継ぎ足しで住宅が建てられたのが分かる。
商店街の店舗だったであろう場所も駐車場になっており横から覗くことができた。
商店街の存在そのものが昭和の生き証人。ここまで忠実に・・・という言い方は適切でないのかもしれないが、原風景が残っていることは奇跡に近いと思う。椿井市場は明治から大正、昭和、平成と歴史を紡いだ貴重な物件だった。
ここから余談。
近鉄奈良駅周辺は複数のアーケード街を有している。
それ以外の商店街も多数あったが、この人・人・人!
コロナの終わりを本格的に感じる春となった。不謹慎かもしれないが、ちょっと寂しさを覚える。
奈良のアイドル鹿にも会えました。
ただ、この辺りは人も多いから撮影難易度高いっす。
こういう名所を写すとるるぶみたいな写真になってしまうのが悲しい。
ならまち自体も流石名所って感じでハイレベルな場所だった。あまりにも楽しくて予定の時間を大幅オーバーしてしまったのは秘密。京都に比べると圧倒的に地味だけど奈良は行くから面白いの真髄を感じられる。