廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

地下40m!トンネルの中にある駅 新潟県 筒石駅

筒石駅について。

どこで知ったのかは忘れたが、はじめて知ったその日からいつか行きたい場所リストに入っていた。異世界みたいな駅構内も魅力だが、地下のトンネル内にホームがある、地下鉄じゃないのに地下で電車へ乗るという摩訶不思議さが私の心を離さなかった。

 

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今回は8月の終わりに車で現地へ向かった。海沿いの幹線道路から近い位置にあるが周囲の景色は秘境駅に近い。・・・というのか山間の秘境駅と言っても良い気がする。

 

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駅舎は看板が無ければただの倉庫か事務所みたいにこじんまりとしている。これで後ろに線路が見えればまた違うのかもしれないが・・・。

 

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観光案内板も存在。特異な駅についての解説はありがたい。

このこじんまりとした駅舎から地下40mの異世界空間へ繋がっていると思うと胸が昂る。

 

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看板ではJR筒石駅となっていたが、現在はえちごトキめき鉄道株式会社の管轄のようだ。ETR!ETR!

駅員は不在の無人駅。電車も1時間に1本程度。駅舎内もこじんまりとしていた。観光地として有名な駅らしく、旅人の感想を書き記すノートが置いてあり、ほぼ毎日更新されていた。

 

地下40mへの入場料は190円とリーズナブル。集金箱へ直接現金を入れるスタイルだ。

 

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改札を抜けるとホームへの入り口が待っている。

 

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地下へと向かう長い長い階段。下を見ればまさに暗黒のダークワールド。8月の終わりだというのに中はひんやりと涼しい。差し詰め天然のクーラーだ。

 

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下を見て、振り返って上を見る。遠くに見えるトタンのドアがここが現実であると認識してくれる。

 

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地上から距離にして200mの長い階段を下る。

 剥き出しのパイプと強い蛍光灯の光が陰影を生んでかっこいい。

 

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階段の下から上下線の分岐があり、地下世界はさらに広がりを見せる。

 

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結露なのか地下水なのか・・・滴る水滴が周囲を濡らす。どこかアナーキーな雰囲気でありながらサイバーパンクさも感じる。ゲームの地下ダンジョンのようでもあり、訪れた人によって様々な感想を抱くだろう。

 

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糸魚川方面のホームへ。

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ただいまの時刻はおよそ14時。残念ながら列車通過は40分後と通過する場面は見れなかったが通過時の風速は凄そうだ。

 

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ホームも異世界感が凄い。

そしてどこか懐かしさを覚えるのだが・・・

 

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壁面に生えているキノコで思い出す。

ここは実写版スーパーマリオの世界ではないか!

広がる地下世界、剥き出しのパイプ、滴る水滴、そしてキノコと合点がいく。

 

実写版スーパーマリオは幼い日にマリオが好きだった私に叔父がVHSをプレゼントしてくれた思い出の一作。あのマリオがなぜか現実世界を舞台にディストピアなSF作品として映画化され、一部でカルト的な人気を誇っている。マリオの原作とはかけ離れたストーリーとビジュアルで興行収入的には大コケだったらしいが・・・

 

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話を戻そう。

駅の内部は湿度が高く自然とカメラのレンズが曇っていた。これだけ水浸しなのだから当然か。結露の影響でモヤっとした写りになるのだが、ソフトフィルターを使ったように光が滲んでこれはこれでかっこいい。

 

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直江津方面のホーム。

鎖で繋がれた椅子と机。普段利用する駅では見られない本当に非現実な空間だ。
 

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ホームはかなり狭く、基本はここで待つことはしないのだろう。

ここで来ない列車を待っていると不思議な気分になる。さっきはマリオの映画を思い出したがここではいつか見たホラー映画を思い出す。ゲームの女神転生3の地下世界もこんな感じだったなぁ。

 

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帰り道の階段を登る。ここでも何度も後ろを振り返って写真を撮っていた。

 

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地下世界の近くには広がる青空と日本海が待っている。

ほんの十数分前まで陽の光が届かない場所にいたのに不思議なものだ。

 

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感想

いつか行きたかった念願の駅。思い描いていた以上に非日常的な光景が広がっていた。

まるで異世界へ迷い込んだ感覚を楽しめた。地下鉄じゃないのに地下で電車で待つという感覚は実際乗っていないため味わえず残念。それでもなかなかにかっこいい写真も撮れて満足。今回は時間の関係で電車の通過を待たずに現地を後にしたが今にして思うともったいないことしたなぁ。次回の訪問はいつになるか分からないが電車の発着は見てみたいと思う。トンネル駅やもぐら駅と呼ばれる場所はここ以外にも上越線土合駅など存在するため近くに立ち寄った際はチェックしていきたい。