廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

山梨県 廃墟 山中湖メッシーナ美術館 

 

富士山の雄大な景色が楽しめる富士五湖エリア。

山中湖側から見る雪の積もった厳冬期の富士山は荒々しくも神々しい。

 

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現在でもそれなりに人気のある観光地ではあるものの、光あれば影あり。ここにも多くの廃墟が存在している。

今回訪れたのは1992年に証券会社の研修施設を改装して建てられた美術館。その証券会社も1997年には経営破綻しており、それと同時に美術館も閉鎖となった経緯だ。例に漏れずバブル期に調子の乗った経営をして崩壊とともに滅んでいったパターン。

 

湖畔を散歩しながら現地へ向かう。山中湖といえば雪まつりくらいしか来たことがなかった。思った以上に富士山が近くて迫力がある。

 

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店舗や駐車場など集まる地帯から少し距離のある場所まで歩く。

赤茶色のレンガが目的地。現在では人気のないエリアではあるものの小高い場所にあり、湖畔からも近く景色は良さそうだ。

 

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枯れた枝と乾いた空がいい感じ。

 

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強引に開かれている緑の入り口。

 

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割れてしまっている受付からも人為的な破壊具合が伝わってくる。


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さっきからチラホラ見えているが、ここのグラフィティの量はなかなかのもの。

 

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エントランスをくぐって真っ先に目につくのは・・・・


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ドン!

 

船長!そうか、ひとつなぎの財宝はここにあったのか。

 

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残留物はほとんど見当たらない。

レンガと割れたガラスとグラフィティだけの世界か。悪くない。

どうしても遠くに映る未来の海賊王の自己主張が気になってしまう・・・

 

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ゴム人間を超えた先には一室。本来ならば美術品が飾られていたのだろうがもぬけの殻。

何も置いてない美術館というのも普通じゃ体験できないことだ。もっともここは廃墟なのだが・・・

 

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二階へ移動。

二階は一階と比べると小部屋で小さく仕切られているが残留物は全くと言っていいほど無いのは変わらない。

 

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コンクリ剥き出しの廊下。そういう意図ではないが幾何学的な模様が神秘的。

廊下の奥には富士山を模した神様が祀ってあるように見える。たぶん作者は意図的に作ってあるんだよね?いい発想。ナイスなセンスだ。

 

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さっきから同じ作者と思われる作品が複数あるけどどれもいいなぁ。こういう絵をサラッと描ける人間になりたい。

 

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一階に比べると低俗な落書きが少なく、どれも気合のある絵が多い印象。

 

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この周辺の廃墟でよく見かけるKUKULさんの落書きも存在。

けいおん!にポポポーンだから10年前くらいを思い出す。2期が2010年、劇場版は2011年だっけ?もうそんな昔なのか・・・

昔をしみじみと思い出す。これも廃墟旅の醍醐味ですな。

 

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圧巻だったのがこの部屋。チラッと見える部分だけ思わず声が漏れた。

 

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す・・すごい・・・。

ドラゴンクエストⅣに出てくる踊り子と占い師の姉妹のように異国情緒溢れる三つ目の女性。凄く素敵。

上腕に描かれたタトゥーをよーく見ると・・・

 

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廊下の神様!

なんと同じ作者なのか。恐れ入った。サラッと描けるようにと言ったがガチな実力がなければサラッとはできないんだよな。

そして、その隣にはKUKULさん作の天使ちゃんが!

 

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それ以外も普通に凄い作品ばかりで相当な腕に自信がある人でないと描けないオーラがあった。

 

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ガラスには弾丸が打ち込まれたような蜘蛛の巣状の跡が残る。・・・まさか、ね?


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さて、次へ行こう。

 

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三階部分は屋上でエアコンの室外機や貯水槽など機械類しかなかった。

地下へ行こう。

 

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地下はガラスと石灰が入り混じる世界。特徴的な大窓のガラスは破られて見たことのないサイズの破片が散らばる。

 

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カ・・・カカロット

新旧週刊少年ジャンプの看板漫画が出揃った。とはいえこちらはごめんなさい鳥山先生の姿だけれど。

 

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剥き出しの幾何学的なコンクリも健在。片側だけだと印象に残らないけど個室になるとサイコな雰囲気が漂う。

写真だと明るさを結構弄っているため明るいがここは地下のため暗い。足元には注意が必要だ。ちなみに私は躓きかけた。危ない危ない。

 

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大窓の外から地上へ。

 

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こっちもガラスの破片だらけ。バブル期の建物らしくゴージャス。

 

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室内もこんなんだしね。

 

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そろそろ帰りますか。

 

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少し下ると人類を補完する計画をしていそうな空間もあった。

 

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感想

痛みの少ない外観と痛みまくりな窓ガラスの対比を楽しみながら高レベルなグラフィティアートを鑑賞することができた。

バブル期の物件らしく重厚感のある外装は見事なもの。社長の集めた美術品でも見せびらかしていたのかな?内部の設備は全て撤去していたため、当時の様子は分からないがハリボテ感は少なく現代でも通用しそうだ。もう少し早い段階で再利用・・・とは思うものの立地があまり良くないのは確かだ。普段の生活ではお目にかかれないサイズのガラス片には心躍った。・・・何が楽しいのか聞かれても答えに困るが楽しかったのだからそれでいいのだ。そしてただでさえ少ない語彙力が崩壊するほど凄いグラフィティは忘れることができないだろう。