廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

山の上の小さな学校 川村小学校 旧高松分校

廃校はいいぞ!

 

f:id:haikutu:20210206010529j:plain

 

今回の訪問は2020年8月。真夏の日差しを浴びながら山の頂を目指した。

神奈川県足柄上郡山北町にある神奈川県では最後の分校として1956年に開校。2010年に閉校した物件だ。

 

山の頂を目指すといっても車なのだから大した苦労もない。涼しい車内と冷たい飲み物で快適だ。

 

勾配がキツい幅の狭い道を登る。かなりの標高にその学校は建てられている。

 

f:id:haikutu:20210206010509j:plain

到着。フクロウのシンボルマークが素敵な立て看板が目印だ。

建物自体は木造で分校らしくとても小さい。小高い丘に見える様が可愛らしい!

 

f:id:haikutu:20210206010544j:plain

グラウンドは荒れた様子なくきっちり整備されている。この時期は手入れしていないと雑草が生い茂ってしまうはずだ。きっと廃校後も地元住民から気に掛けられ愛されているのだろう。気持ちが暖まる。

 

f:id:haikutu:20210206012103j:plain
タイムカプセルの看板。

私自身はタイムカプセルを埋めた経験がなく、フィクションの世界でしか知らない。時を越えて出会う当時の私の何か。学校行事でやらぬとも埋めとけば良かったな。大人になった今だからこそ思う。

 

校舎の外観を間近で。

 

f:id:haikutu:20210206013054j:plain

さすが10年前まで現役だっただけあって痛みが少ない。まだまだ潰れる気配は見られない。末永く残っていてもらいたいものだ。

 

f:id:haikutu:20210206010513j:plain
煙突モクモク飛んでゆけ。青空にも負けない色の可愛いヤツ。この辺りの冬の冷え込みは過酷。暖房は欠かせない。山の分校の標準装備だ。

 

f:id:haikutu:20210206015203j:plain

そう、ここは旧高松分校。教えてくれてありがとう。

 

校舎裏側へ。

おそらくここがこの校舎で一番の見どころだ。

 

 

f:id:haikutu:20210209224749j:plain

f:id:haikutu:20210209224156j:plain



f:id:haikutu:20210206014416j:plain

可愛い鳥さんがいっぱい!

自然に恵まれたこの土地ではたくさんの野鳥が観察できる様で子供達が描いたイラストで彩られている。開校50年や平成17年と記載がある。2005〜2006年くらいに描かれたものとなる。

 

f:id:haikutu:20210209225450j:plain

f:id:haikutu:20210209224139j:plain

f:id:haikutu:20210209224205j:plain

私は鳥ならメジロが好き。さてどこにいるでしょう?

これを描いた子供のほとんどは成人しているはずだ。それでもイラストから伝わる純粋さは色褪せずに残っている。

 

f:id:haikutu:20210209224213j:plain

f:id:haikutu:20210209224221j:plain

f:id:haikutu:20210209224308j:plain

これを描いた人々はここに来ればあの時の自分に帰れるのだ。帰れる場所がある、こんなに嬉しいことはない。

 

f:id:haikutu:20210206021350j:plain

自分のお気に入りはこの靴箱。こんな素敵な靴箱は他では見かけることができない。それぞれがひかり輝く一点モノだ。

 

この廊下は今でも子供達の笑い声が聞こえてきそう。

 

内部の立ち入りはできない。窓から校舎内を確認できる。中は教室二つ分といったところか。

f:id:haikutu:20210209224329j:plain

机や教材の類はせいぜい黒板消しとチョークくらいでほとんど片付けられている。今でも地域の集会で使っていそうだ。

 

 

 

壁に貼りだしてあるものは当時のまま残っている。

f:id:haikutu:20210206010624j:plain
ピカ〇ュウさんとハム〇郎さん。

とっ〇こは少しズレるがポケ〇ンはドンピシャの世代だ。これを描いたのは私より少し下の世代の子だと予想。サ〇シくんは20年経ってもポケモンマスターを目指したままと当時の私に伝えたらどんな反応をするのだろう。ギエピーの方は少し前に連載が終わったんだっけ?

 

f:id:haikutu:20210209230021j:plain

f:id:haikutu:20210209230048j:plain
ここでも野鳥観察についての取組が目立つ。学校としても代々取り組んでいったライフワーク的なものだったのかな。フィールドワークも思う存分できる。この土地ならではの贅沢な授業だったのだろう。それにしても素敵な詩。キュン死とはこういう感覚だったのか!

 

それにしても暑い。そろそろ下校して車で涼むかな。さっき買った飲み物は茹だっているだろう。

 

 

思いは時を越える。

まぶしい日差しと青い空、夏真っ盛り。小さな木造校舎と残された思い出は私の胸にも刻まれた。

 

 

 

感想

天気にも恵まれて訪問の満足度が高かった物件。たくさんの思い出が詰まっている校舎に胸がいっぱいだ。卒業生は帰省の際に立ち寄って昔を懐かしむ姿が想像できる。規模こそ小さいが廃校訪問の良さが凝縮されている。それにしても、こういう実家以外で当時の思い出が残っているというのは羨ましい。私もタイムカプセル埋めとけば良かったなー。