さて、いよいよクライマックス。
この先の部屋を目指すにもご覧の通り扉は封鎖されてしまっている。外から回り込む形でアプローチをせねばならない。
出口へ戻ろう。
名残惜しいな。
君をもっと可愛く撮ってやりたかった。
君も元気でやってくれ。
正面の出入り口だと思っていたが非常口なのか?
いつも通りに藪を漕ぐのだが、このくらいなら無問題!
徐々に轍が見えなくなってくる。
この小学校にありがちな謎のモニュメントは何のためにあるのだろうか。
焼却炉だ。
私が小学・・・何年だったかな。確かダイオキシンが問題になって廃止されたのは低学年の頃だと思うから20年以上前か。用務員のおじさんが色々な物を燃やしていたのをぼんやりと覚えている。今はSDGsなんてシャレオツな名前で環境問題が取り上げられているけど、ダイオキシンや酸性雨にオゾン層破壊と昔は言葉からして怖かったな。
裏側にも扉があって安心する。
足元は泥だらけ。どうやら水が流れてきているようだ。
水溜りというのか小さな川が形成されている様子が見える。チョロチョロと流れる音が聞こえていた。
さて、教室内へ・・・・
・・・
・・
・
「ギャア!」
思わず声が出てしまう。
扉を開けた先に待っていたのは赤いお口を大きく開けて待っていたワニさん。
もうね、心臓が止まるかと思った。
凄い迫力のワニさんに目がいってしまうが落ち着いて辺りを見てみよう。
周囲には見たことのない薬品やホルマリン漬けの死骸を中心に凄い量の残留物が残っていた。
いつも見る彼は何だか頼りなさげな瞳をしていた。
いつも隣にいる彼女がいないせいか。ウミガメさん頼みましたよ。
魚から爬虫類まで豊富な種類が揃っている。
思い返してみても授業で使った覚えがないのが気になる。
理科の授業が懐かしい。歴史の授業以外は全く興味がなかった子ども時代、思い返せばもっと勉強しとけば良かったな。
「勉学発噴」が見守る黒板に描かれているのは席順かな。
“きょうてんこうしてきた人“とは随分と他人行儀ですな。田舎に転校なんていうとドラマが生まれそうな予感しかしない。少し憧れちゃう。
いざ、進めや〜キッチン♪♪
身体の模型が至る所に散らばっていた。
この部屋はちょっと見どころが多すぎるって。
次に来た時はどんな発見があるのか今から楽しみでもある。
理科は好きでこそなかったけど実験に使う機器を眺めるのが好きだった。この器具は何に使うのか、何年生になったら触れるのか、そんな空想ばかりしていた気がする。この場所を訪れるまで忘れていた思い出。あの時の感情が私を暖かく包む。
そろそろサヨナラの時間だ。
別れを告げた校門の先にひとりの女性が佇んでいた。
風の通り抜ける階段から町を眺めていた。ここは今日から私もお気に入りの場所になりそうだ。
昭和情緒溢れる田舎の港町。
ひっそりと高台に佇む木造校舎。2021年の夏、私に一番の思い出をプレゼントしてくれた。