廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

湯の山温泉 廃墟群を歩く 三重県

個性溢れる湯の山温泉の廃墟たち

湯の山温泉には数多くの廃墟ホテル・旅館が存在する。

前回の記事では温泉街を紹介したが、今回は温泉宿にスポットを当てる。

 

 

haikutu.hatenablog.com

前回の記事はこちらから。

 

高台から一望した際に最も目立つのがこのホテル。

令和4年の不審火で焼失した「鶯花荘」。心霊スポットとして全国的に有名だったということで夏場など招かれざる訪問者が後を絶たなかった。何か事件が起こったわけでなく根も葉もない噂で焼失してしまったのは勿体ない出来事。このホテルを設計したのが世界的に有名な建築家でベランダの張り出しが各部屋異なる面白い作りだったそうだ。バブル崩壊後にこの手の大型ホテルは集客に苦戦し、鶯花荘も例に漏れず2000年頃に廃業となった。

 

入り口にはバリケードが敷かれており近づけないが、正直この程度なら簡単に侵入できてしまうだろう。

 

温泉街からもその姿が確認され、湯の山温泉のランドマークとも呼べる物件だ。

 

こちらも湯の山温泉では外せない物件、「杉屋」。

軒先が完全に崩落してしまっている廃旅館。廃墟検索地図によると創業は湯の山温泉で一番古く江戸の元禄時代とあった。廃業時期は不明だが2008年には営業していなかったということ。

 

一見すると小さな旅館に見えるが増改築を重ねて時代の異なる複数の建物が繋がっている。全容も見たのだが、インパクトに圧倒されて写真を撮るのを忘れていた様だ・・・。

 

誇らしい看板の数々。哀愁を誘う。

 

美しい正面玄関は今も健在。

 

周囲には残留物も多い。

 

網戸越しに見える厨房設備。

 

由緒正しい旅館跡は今も静かに時を重ねている。

 

視点を高台へ戻そう。

川沿いに注目すると建物の基礎がそのまま残っている。解体された物件も多くあるのが見て分かる。

 

プランターが置かれて有効活用しているみたいだ。

 

川沿いの斜面に建つ「翠明館」という旅館は1階部分のみ喫茶店として営業していた。

 

風情のある遊歩道。

 

脇を見れば廃墟が目立つ。

 

「ペンションきんこんかん」良い名前だ。

 

主人に忘れ去られたぬいぐるみは何を想うか。

 

ジュースのラインナップも妙に懐かしい。

なっちゃんとか今でも売っていると思うがCMはすっかり見なくなった。

 

廃墟を探して上へ進む。

 

どこもかしこも廃業した旅館ばかりでワクワクもんだぁ。

 

こちらもかなり目立つ大型ホテル廃墟「ホテル・ブルー」。

 

窓枠は外されているが解体途中で放置されている模様。

 

緊急事態宣言も今となっては懐かしい響き。

思えば一人旅が好きな自分にとっては快適な数年だった。

 

一応立ち入り禁止の立て札はあったが入り口はウェルカム状態。

 

さらに進むと廃墟が並ぶ・・・と思いきや手前は「森の音」という古民家カフェ。調べてみると数年前まで完全な廃墟状態だった旅館を改装したということだった。

 

こちらも同じ道沿いにある「河鹿荘」。

昭和6年創業の老舗旅館。廃墟検索地図によると2010年頃まで営業。新館と旧館から構成され、末期は日帰り入浴のみの営業だった模様。

 

緩やかなアーチを描くベランダが美しい。

 

表側から見ると建物はそこそこ維持できていたが・・・

 

裏側は崩落している箇所もあり危険な状態だった。

 

料理店の鑑札。

時代背景的にピンクコンパニオンですかね・・・。

 

この辺りが湯の山温泉の最深部。

木に隠れて見えにくいが”自然の中の渓流プール”の看板あり。

 

これのことだろうか?

現代的な感覚だと普通に危ないと思うというか、降りるの大変そうだ。

 

さて、その奥で待ち受ける廃墟がこちら。

 

「一心堂鍼灸治療院」と旅館の居抜きで鍼灸院を開業していた物件だ。

 

見た目以上に大きい建物。

屋根から崩壊が進んでいる状態。

 

その他にも廃墟はザクザクと現れる。

 

かつての繁栄を物語るかのように裏道には従業員寮が点在している。

 

以上で今回の訪問時に見かけた物件の紹介は終了。事前情報を仕入れていなかったが、非常に満足度の高い結果になった。勾配はキツいが範囲はそこまで広くなかったため、杉屋なんかは偶然に見つけることができた。ここのハイシーズンは何と言っても紅葉時期だろう。今年の秋が楽しみで仕方がない。