「ゲレンデがとろけるほど恋したい」
バブルを象徴するウィンタースポーツ。
1985年まで爆発的に増加したスキー人口。日本中が好景気に沸いた中で起こったスキーブーム。
その運命はバブル崩壊とともに徐々に下火となっていく。バブル景気の残り火のあった1993年を頂点に沈静化に向かっていった。
今回訪れたのはブーム真っ只中に建設され、2000年のシーズンを最後に休業を迎えた栃木県の鶏頂山にあるメイプルヒルスキーリゾート。バブル時代を象徴とするような趣きを色濃く残していた。
秋が深まる山頂に錆びたゲートが今でも残る。
メイプルの名前を冠する施設らしくメイプルの葉がマーク。
ここから連想することといえばカナダの国旗。そう、この施設はカナディアン調で統一されたお洒落スキー場だった。
ゲートから歩いてすぐに目的地に到着。
駐車場の管理小屋だろうか。
対面にあるもうひとつの小屋はペシャンコ。
ゲレンデ方面に大きめの小屋が建つ。
そして・・・
今回の探索のメインとなるセンターハウス跡地。
・・・で、でかい!!
全体を1枚に納めるには超広角レンズでもかなり遠くから撮らなければ写すことができない規模。見ての通り駐車場もかなり広大な土地となっていた。
駐車場には様々な残留物が残る。
ウッドロッジをイメージしたカナディアンでお洒落な外観。今の感覚だとちょっとロゴが悪目立ち。いや、逆に新鮮か。・・・わからん!
ふもとには日光・鬼怒川と日本の伝統的な観光地が広がる。そんな中でカナダテイストを全面に出すという事がいかにもバブル時代の建物だ。
外観は原形こそ保っているがかなり朽ちているのが分かる。山頂に建っていることもあり、雨風そして雪にやられてしまったのだろう。1階のガラスというガラスは全て割れていた。
中央には誰が置いたのか梯子が掛かる。使うか使わないかは貴方次第。(ちなみに私は使ってない)
危険も多く慎重に行動せねば・・・!
駐車場の裏側はゲレンデとなっており、巨大な照明が建ったままになっている。
内部は360°どこでもウェルカム状態。ピカチュウのぬいぐるみが迎えてくれた。
90年代後半、ポケモンの興盛とともに萎んでいったスキーブーム。思えば娯楽の多様性が拡大していった時期かもしれない。どうしてもお金の掛かるスポーツとなるため、不景気と重なって厳しいものとなったのだろう。ちなみに初代ポケモン世代である私の幼い頃の感覚だとお金を持ってそうな家の子は毎年スキーに行っていたイメージがある。私は1回だけ連れていってもらったかな。
内部の廊下。見ての通り崩壊具合が凄い。床は泥々で履いていた靴は一瞬で泥まみれになってしまった。
落下している非常口の案内灯が目立つ。
彼は無事だった。良かった!
受付を通って仮眠室へ向かう。
光さす場所は漏れなく緑のカビが繁殖している。
仄暗い中で差し込む光が美しい。
奥には二段ベッドがびっしり。ちょっとこの中で仮眠できる気がしない。
託児所も併設せれていたみたいだが縮小されてしまった模様。
今だと子供でも楽しめるサービスを全面に出す施設も少なくない。当時はまだまだ大人の娯楽だったのだろう。
廊下がやけに狭いなと思っていたら1階の大部分は駐車場だったようだ。
駐車場の泥は深い深い・・・
施設で使われていた洗濯機が大量に放置されていた。
ここは食堂か・・・?
ずいぶん質素。山小屋の食堂みたいだ。職員の休憩スペースかもしれない。
片隅には申し訳程度のメイプルステッカー。
外側に面した部屋は更衣室やロッカールームが多かった。
事務的な机が並ぶ。ここは事務所かな。
何となく小学校の職員室を思い出す。
外から見ると完全に校庭から見た職員室だよ。懐かしい。
写真がフィルムが主流だった時代。後ろに映るVHSと合わさって時代を感じる。
こうして写真屋さんに現像に出してアルバムにするのが一般的だったのも今では懐かしいと思ってしまう。
パンフレットもたくさん。
それにしても広い。見どころだらけでどう攻略しようか困る。
謎の機械も多いけれど、その場でGoogle検索できる便利な時代になったものだ。
スキー板だ。ようやくスキー場廃墟らしい残留物に出会う。
ここの廊下は差し込む光が絶妙で美しい景色がたくさん見れる。
明と暗が絶妙な塩梅かな。
遠くに見える鮮やかな木々。
思えばこの時期は紅葉シーズン真っ只中。この辺りも紅葉の名所として名高い。那須高原側から向かったのだが多くの美しい景色があった。
宿泊部屋も並ぶ。
二段ベッドがあるだけの質素な部屋だ。
風呂場も質素の一言。懐かしいタイル貼りで何だか家の風呂場って感じ。
ボイラー室。機械は何も残っていないが剥き出しの骨格と遠くに映る色付いた木々のコントラストが素敵。
長くなってきたので次回へ続く。
まだ施設の半分も見ていないのだが、バブル時代らしいハリボテ感が満載ですな。
次回は2階へ。施設のメインとなる場所へ歩みを進めよう。