廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

山梨県 湯村温泉を歩く

山梨県の県道6号線を車で走っていると目に付くのが湯村温泉のネオン管。

以前から気になっていたものの、ここを走る時は他に用事があったり時間を急ぐ場面が多く幾度となく通過していた。

 

調べた限りだと、規模も小さく「湯村温泉」と検索すると兵庫県湯村温泉が先に表示されるレベルの場所だ。歴史自体はネオン管の上に示されている通りに大変古い。

 

1200年前に弘法大師が開湯したとか何とか。山梨近辺でしょっちゅう目にする信玄の隠し湯の筆頭と言われているらしく、2021年に「湯村温泉」から「信玄の湯 湯村温泉」に名称を変更している。

 

武田信玄に全力乗っかり系の山梨県らしい個人的にほっこりエピソードなのだが、名称変更後もコロナ禍ということもあり衰退の一途を辿っているということ。昨年に湯村温泉復興を目指して県や市と協力して再開発と環境整備をするということが発表された。

 

このメイン道路に石畳を敷いたり遊歩道を整備して浴衣で出歩ける活気ある温泉街を目指すらしい。

 

この辺りが中心地なんですかね。平日の午前とはいえ、寂れた雰囲気が漂っている。

自慢である武田信玄の旗もご覧の通り破れたまま放置されているではないか。

他にも色々と試行錯誤をしている様子は伺えるのだが、持続できないと根本的には解決できない。

 

やたらと目に付くのが旅館や商店を居抜きで改装したと思われる介護事業所。観光よりも地域高齢者に対する需要が高いのだろう。

 

これは居抜きかどうか不明だが温泉に入浴できると看板があった。旅館を居抜いた物件ももちろん温泉を引いているのだろう。私も将来入居したいぞ。

 

衰退温泉街に付き物の廃墟も当然のごとく点在していた。

個人的に今回の探索でハイライトになるのがこの廃スナック。

 

なんという極上の廃空間!

絵の出るカラオケ♪も気になるぞ。

 

こちらも負けじと素敵な物件。

遠い過去、朱色に染まった橋が温泉街の夜を盛り上げていたに違いない。

 

おそらく再整備事業の際は管理されている物件を除いて更地になるのだろう。幾度となく更地になった場所を訪れている自分としてはそれだけで満足できた。

 



本当に時間が止まったかのような場所。

こういった風景だけ見ていれば大層な田舎に見えるのだが、住所は山梨県の県庁所在地でJR甲府駅から歩いて行けない距離ではない。ネオン看板の近くにはドミノピザやマクドナルドもあるぞ。

 

小さいながらも歴史を感じて情緒ある風景も楽しめる。

 

ただ川の水が汚かったりゴミが捨ててあったりと情緒を台無しにしている面もある。ついでに道幅が狭く車通りも激しかったりとハード面での整備の必要性も感じた。

 

散策できる寺社もちらほらと。

神社の階段近くには犬が飼われている。めっちゃ吠えられた。

 

メイン通り以外の路地にも数軒の飲食店があった様子。

 

居酒屋・手打ほうとう・ラーメン。色々と渋滞しているぞ。こういう本物の昭和文化を見て歩くのも楽しいのだけどね。

 

「うーん、タイルひとつ取っても美しいですなー。」なんて浴衣着て言うのは野暮か。

 

温泉街としては今の姿を捨てて映える町に生まれ変わるのが正しいのかもしれない。