廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

廃墟 荒井注のカラオケハウス 静岡県伊東市

元ドリフ所有 伝説の未成廃墟

訪問日 2024年2月

「何だ、バカヤロウ」

昭和の芸能界で頂点を極めたドリフターズの元メンバー荒井注。その晩年に建設したカラオケボックスなのだが、建物の完成後にカラオケ機材が入らないという設計ミスが発覚。設計した業者は逃げ出し、開店を断念するというコントみたいな逸話を持つ。

 

彼の没後も度々テレビで取り上げられていた記憶のある話だ。

廃墟としても有名な物件であったが、建物そのものに魅力があったかと聞かれれば首を傾げる。荒井注が所有していた事とカラオケ機材に関する珍騒動をセットに楽しむ物件だった。

 

そんな平凡な物件だったのは2年前まで。

 

2022年頃に2階部分の廊下が抜け落ちて崩壊したのが発見された。めぐる季節を経て廃墟としても魅力溢れる物件となったのだ。

 

この大迫力!

廃墟の世界にも大器晩成という言葉があった。

 

抜け落ちた廊下部分は完全落下手前で留まっている。これがまた絶妙な落ち具合!

 

昔は廊下越しにカラオケ部屋が覗けたのだが、現在では大きなリスクを伴うこと間違いなし。

 

そして、やっぱり細い扉。

現在の小型化された機材ならば問題なかろうが、それでもソファやテーブルなど搬入に支障がありそうだ。

 

1階へ降りて裏へ回る。

 

入り口にあるお決まりの不法投棄を抜けると・・・

 

想像以上に芸術的な崩れ方!

 

たどり着けない扉に儚さすら覚える。

 

何の面白味のなかった廃墟は360°どこを切り取っても絵になる素敵な物件へと変わっていった。

 

螺旋階段のように渦巻く廊下。

 

1階部分の内部をガラス越しに覗く。

駐車してある白い車は私のではありませんよ!

 

廃墟、3日会わざれば刮目して見よ。

直近だと2021年に訪れているが、まさかこんな面白いことになるとは思いも寄らなかった。廃墟に旬があるとすれば今がその時だろう。

 

カラオケハウスの道路を挟んで向かい側にあったぷるぷるランドというプール場の廃墟。こちらは逆に簡易的なバリケードが敷かれて簡単にはいかなくなっていた。

 

伊豆が廃墟の宝庫なのは間違いない。

年々厳しくなる廃墟探索への風当たり。黒寄りなグレーの趣味であることは確かだ。近年は外観から楽しむ程度に抑えていたが、こういう成熟した姿を見てしまうと廃墟への熱が高まりそうで少し怖い。コンプライアンスは充分に気をつけていこう。