廃屈な日々

廃色の景色を求めて西へ東へ

橋本遊郭 後編 京都府

志士も浪士も遊んだ川辺の遊里

 

haikutu.hatenablog.com

 

 

駅前に広がる橋本遊郭

この通りは京都伏見と大阪を結ぶ京街道の宿場町。江戸時代から続く遊里は幕末の鳥羽伏見の戦いで焼けて衰退したが、京坂本線の開通で復興。最盛期は1937年で昭和恐慌の影響で身売りを余儀なくされた女性が多く、約90の座敷に娼妓600人が在籍したとされる。

 

そういった経緯もあり遊郭や色街は負の側面を抱えている。

そのため、遊廓があった事をタブー視している地域は少なくない。橋本遊郭も同様で、歴史や名残を伝えていこうという動きもあるみたいだが、忘れてしまいたいという住民も多くいるみたいだ。

 

その象徴がこの旅館「橋本の香」

この妓楼は駐車場になろうとしていた妓楼を中国出身の女性が購入した物件。

根底には日本文化が残る建物を保存したいという思いがあったという。現在は旅館として実際に泊まれるだけでなく見学も随時受け付けている。遊廓の存在を後世に伝えていく重要物件なのだが、購入までには忘れたい風化させたい住民との間で一悶着あったようだ。

 

それでも建物に罪はない。文化的な価値は多いにあるはずだ。

 

豪華絢爛な鯉の透かし彫りの施された外観。

非日常への入り口は建物の外を見ただけでわかる。

 

今回は訪問した時間が早朝ということもあって見学は見送ったが、今にして思えばダメ元で電話してみれば良かったかな。

 

橋本の香近くにあるこの物件も同じオーナーが経営されている喫茶店

聞くところによるとクラウドファンディングで集めた寄付金で再生させたということ。

 

こちらも負けず劣らず素晴らしい外観だ。

 

細部までこだわり尽くされております。

橋本の香と喫茶店に挟まれている二軒の物件も遺構だと思われる。

 

一見するとあっさりしている印象だが、2階の窓に注目。

 

芸者ガールのステンドグラス!

 

凄いなぁと見惚れていたが調べてみるとこれは後付けされたものらしい。

 

・・・町並みに馴染んでいるからヨシ!

 

その他、入り口周りの様子。

灯籠や水鉢が残っているのは何でだろ?

 

個性的なタイル使いに目が行く物件。

 

他では見たことのないデザインだ。


こちらにも水鉢が残っていた。

 

シックな雰囲気のモザイクタイル。

茶色とベージュの組み合わせは定番のように思える。

 

これだけ豪華な遊郭建築が見れる場所って本当に貴重だ。

 

漆黒で貫禄のある遺構。

 

重厚な外観に反して玄関周りのタイルはピンクと淡いグリーンでとってもキュート。

 

芸術的な丸窓。

 

タツムリみたいにニョキっと生えるランプが可愛い。

ちょっと呪術廻戦の花御にも見えるな。往時はランプの灯りに誘われて多くの男が夢を見たのでしょう。

 

おかっぱ頭に見える屋根。可愛いです。

 

さて、ここらで橋本遊郭の現状について余談。

見てもらった通り、令和の世でこれだけ遺構が残っているのは奇跡といっていいだろう。一方で消えていった痕跡もそこら中で見受けられた。

 

更地になった物件。

 

廃墟化している物件。

 

新しい住宅となった場所。

 

現在進行形で消えていっていることに間違いはなさそうだ。

 

続きに戻って多津美旅館跡。

遊郭から旅館へ転業し、数年前まで泊まることのできた物件だ。

 

うっすらと残る屋号。

 

温泉付きでリーズナブルな価格設定。

 

ステンドグラス!!

 

ここに泊まった先輩諸氏の記録を拝見すると室内も非日常を味わうべく意匠が散りばめられた素晴らしい物件だった様子。

 

多津美旅館の向かい側にある物件。

 

簾と水色のタイルがさわやかで冷涼感を感じますな。

 

上に乗っているこの人は何の神様でしょう?

 

目抜き通り最後を飾る遺構がこちら。

 

透かし彫りにモザイクタイル、極め付けの重厚な扉。1・2を争うサイズ感といい只者でない印象だ。

 

まさに最後を飾るに相応しい物件。

何よりも最初から最後までハイレベルな通りだった・・・!

 

裏を見れば淀川の堤防。

 

橋の手前に渡し場の道標が残る。

 

川沿いから見る橋本遊郭の景色。

かつては2階から淀川が見渡せて満月の日には風流な夜を過ごせたのだろう。

 

正面から見えない丸窓。歯科に転業した物件だった。

 

さて、ラストスパートと行きましょうか。

 

この通りにもそれらしい物件が数多く残っていた。

 

コの字になっている住宅。

 

典型的な遊郭物件。保存状態がとても良い。

 

意匠もバッチリと残っていた。

 

最後になる物件がこの酒屋さん。

 

ウサギの透かし彫り。これ凄いなー。

 

前後編に分けた橋本遊郭だが、後編が明らかに長いっすね・・・。

本文でも腐るほど語ったが、ここまで遺構が残っているとは恐れ入った。どれも保存状態が良いだけでなく、非日常へ誘う絢爛な意匠の数々がさすが京都だなと。空き地や建て替えになった場所も多かったが、令和の世でそこまで求めるのは酷な話。駅前に広がる別世界に感無量でございました。