謹賀新年。おはよう2022年。
年末に新しいカメラを買った私は居ても立っても居られずに正月早々、初日の出と洒落込むことに決めた。
決めた。
・・・決めたのだが、仮眠と称して眠ってしまい起きた時刻は午前7時過ぎ。すでに日の出を迎えた後となってしまった。こればかりは取り返しがつかない。後悔を少々引きずったまま車に乗り込んだ。
向かった先は静岡市と焼津市を結ぶ大崩海岸にかつて存在した石部隧道跡地。
大崩海岸はその名の通りに崩落が多いことに由来している。最近でも約10年前に大規模な崩落があり、長い期間通行止めとなっていた。石部隧道は戦前まで鉄道が通っていたらしいが、土砂崩落の多発する地形することとトンネル自体が狭かったことが起因して使われなくなったということ。以後は路線バス専用で使われていた時代があるらしいが、1948年アイオン台風で一部が崩落したとの記述あり、安全性を考慮したのか1960年代には完全に使用されなくなった。
そんな背景もあり、今では当時の見る影もないほどに崩落が進んでいる。今でも廃墟マニアが数多く訪れる場所だ。なんと驚くことに旧石部隧道へ至る道近くに民間の駐車場が存在する。たぶん地元の人間も知らないし、毎日ここを通る人もこんな場所に有料駐車場があるなんて思わないだろう。ただし、令和4年1月11日から2月28日まで海上橋修繕の工事が始まるらしくこの場所は工事拠点となるのかプレハブ小屋が建ち封鎖されていた。歩いてすぐの海上橋の駐車場も工事終了まで使用ができないようだ。
謎の民間駐車場と道路を横切る形で通行すると案内板が存在している。
案内板こそあれど、ここから先はデンジャーゾーン。
歩道など存在せず、排水路を下る形で海岸まで降りなければならない。ただし、そのまま真っ直ぐ進むと高さ2メートルほどの崖が2箇所現れる。1箇所目の崖手前で左折すると大きな危険なく海岸へ出ることができる。人の往来はそれなりにあるため踏み跡をしっかり観察すれば問題ないだろう。
すでに訪れたことのある私は時間にするとものの数分で崩落した隧道へ到着できた。眼前に広がるは太平洋、遠くに見える伊豆半島も実に雄大だ。
これがまた見事な崩落っぷり。
ふたつの洞門は断面図のように切り取られている。瓦礫も絶妙なアーチが掛かり、往年の姿を彷彿とさせている。
波打ち際を見れば波で削られた瓦礫も確認できる。
この土地が多くの人を魅了してやまないのは晴れた日に訪れる絶好のロケーションがある故だろう。
正月早々にいい絵が見れた。
一富士二鷹と鷹こそいなかったがピィピィと可愛い声で鳴くのはヒヨドリさん。
瓦礫になった土地で聞こえるのは波の打つ音と鳥の鳴き声。しめやかで良い正月を迎えられた。
様々なアングルから富士山を写真に収めたくなる場所だ。
場所によっては上手く写らないのが面白い。
富士山をぼかすのもいいかもしれないが、やっぱりパキッと撮りたいよね。
個人的にはこれかなぁ。
構図の美しさというよりか瓦礫やテトラポッドが良く解像しているという憐れな写真機マニア的な感想だけど。
なんとなくだけどカヲルくんの登場シーンっぽいと思うのは自分だけだろうか。
画像検索して比較してみると結構違うのだけどさ。
チラッと見える梯子は誰かが置いてくれたものだろう。おかげさまで安全に海岸へ降りることができる。
さて、ぼちぼちトンネルへ行こうかな。
二本のトンネル。左側のものは道なりに中へ行けるが右側は誰かが仕掛けたロープを辿ってクライミングしないと入ることができない状態だ。
新年から怪我などしたくない私はもちろん登らなかったぞ。手袋も持ってなかったしね。
ヒヨドリさん再び。
こう見ると完全に保護色っすね。
今年は野鳥撮影もしたいなー。誰か望遠レンズ買ってくれ。
トンネル内は横幅が狭く、鉄道が走っていたとは思えないかな。路線バスも相当ギリギリじゃないかな。
コンテナと発泡スチロールが大量に残されている。中には錆びた農具や蜂用の殺虫スプレー缶などが残っていた。
奥は土砂が詰まっている。
登ってみても先へ進むことはできない。
トンネルの脇にある小部屋。これって避難地帯?正式には何だろう。
そろそろ帰ろうかという時にひとりの青年と出会う。
どこから来たのか聞いてみると「東京です」とニコリと笑った。正月から凄い!ようこそ静岡へ。
私も一般的な人に比べたら行動力があると思っているが日本は広い。私以上の人間は山ほどいるのだろう。
帰り際に海上橋の駐車場へ寄る。
最初は誰も居なかったが静岡ナンバーを筆頭に浜松、湘南、名古屋、八王子・・・ひっきりなしに車が停まっていた。
左に見えるは石部洞門。
ここも行こうと思えば行けるのだが、危険度が高い上に引っ付く系の雑草を乗り越えなければならないため覚悟がいるんだよなぁ。
結局行かなかったのだけど、工事が始まったら近づけないし行っておけば良かったな。
新しいカメラの調子もバッチリ。さて、今年はどんな写真が撮れるかな。
感想
もう令和4年とは、月日の経つ早さはとどまることを知らないものだ。
久しぶりの廃墟は自宅から近い土地。最近、他県へ行った時に改めて富士山の雄大さを実感する場面があった。やっぱり静岡県民にとってのアイデンティティなのだろう。ぜひ晴れた日に行ってもらいたい場所だ。
ちょうどブログを開設して1年が経過。
思ったように更新ができない日も多かったが自分の生活の一部になるほど楽しい1年だった。今年もよろしくお願いします。