廃線を巡る旅も終着駅へ
前回の続き
ついに能登線の終着駅へ辿り着いた。
最後の駅である蛸島駅はこれまでの駅よりも遺構が豊富に残されている。
18.蛸島駅
アクセス:★★★★★(駅前に駐車可能)
保存:★★★★★(適度な管理と豊富な遺構)
寂びれ:★★★★☆(ややアート作品が目立つ)
終点の駅ということで有人駅だったであろう駅舎。
こちらの自動販売機は噂に名高い現役のもの。
商品ラインナップは蛸島駅の土産品。
新札とは現行の野口英世のことだろう。つまり夏目漱石なら使える。ちょうど廃線の時期に刷新だったかな?
硬貨投入口にある「新500円玉使えます」は現在でいう所の旧500円玉のことだろう。時の流れに置いてかれて非常にややこしいことになっている。そして、販売中となっていたが硬貨を入れても釣り銭口に直行してしまって何も買えなかった。駅長の証明書欲しかったなぁ、残念。
駅舎内はこれまで見た駅の中でも一番に物が散乱している。それだけイベントごとが多いということなのか。
外観はいい感じに蔦が這い寄っており美しい。
NPO法人のとレール•エア21という団体が管理しているようだが、HPの更新は平成18年で止まっている。昔は21とかミレニアムとか何にでも付けてましたねぇ。
実は廃線後に蛸島駅の跡地利用として、実際の車両を用いて運転走行を体験する施設として整備された経緯がある。蛸島駅を拠点に「奥のとレールファミリーパーク」と名付られ、正院駅と蛸島駅の区間を盆や正月の長期休暇など年に数回走行されていた模様。調べてみても個人ブログやネット記事の断片的な記録しか残っておらず、実態は不明な部分が多い。平成21年に走行があった記述は発見できたが、その後の動向や活動できなくなった経緯は分からないままだ。
駅舎に鉄道体験受付中の幟こそあるが、現在は活動していない様子。
草木をかき分けて目指すは駅のホーム。
おぉ、これは凄い!
待合所に加えてレールまで残されているのではありませんか。
階段を使ってレールに降りることができる。
奥に見えるレインボースプリングみたいな物体は何でしょうかね。
こっちもこっちでラブホテルみたいな看板が目立つ。
おそらく例のアート作品なのだろうが、田舎のロードサイドにはありがちな風景に落とし込めているともいえる。
ベンチにあるのはまさか・・・
ぱんぱかぱーん、駅ノート!
思い思いに描かれたページたち。
猫さん達は足掛け4回でコンプリート。半日で終わらそうとは愚かな考えだったか。
みっちゃん人気も凄い凄い。
それではあの物体の方向へ行きますか。
一度、道路に出たのだが、吸い寄せられるように橋をくぐってしまった。農道に出たけど、駅からレールの上を歩いても辿り着ける模様。
草木もそんなに邪魔しないし歩きやすい道だ。
レインボースプリングはやっぱり奥能登国際芸術祭関連。中へ入ると双眼鏡があった。
覗いて見ると例の看板が見えた。
うん、よく分からん。何か他にできるという意味らしい。
ここまで来た目的はアートではなくこっち。
生い茂る緑の中にぽつんと佇む廃車両。「奥のとファミリーパーク」の忘れ形見だ。
道路沿いからアプローチ。
ついに念願の廃車両だ。
真正面から。ちょっと節目がちですかね。
蔦は絡まり 身は朽ち果てて
思い出の欠片 土に帰り
また 花となるでしょう
like a merry-go-round&round
また 夏に会いましょう
・・・なんちゃって。
ひび割れたガラスに辿り着くことのない蛸島の文字。
ヘッドライトも割れている。
もしもNPO法人の構想が上手くいっていればどうなっていたのだろうか。
最後に運転が確認できた2008年といえばリーマンショックで社会が不安定になっていたのを思い出す。2007年には能登半島地震もあり、資金調達の面では色々と大変な時期だったのかもしれない。
このレールはどこまで続いているのやら。
この場所で末長く残っていてもらいたいものだ。
ちょうど陽が傾き始めた。夕日に照らされる車両を写すぞ。
はい、残念!
何ででしょうね、タイミング良くトラックが休憩しておりました。配送作業お疲れ様です。
うーん、久しぶりにがっかりしたぞ。撮り鉄の人たちの気持ちがちょっと分かったかも。(それを口に出すことはしないけど)
ただ、トラック以前にレインボースプリングが邪魔だ。
ちょうどこんな感じで撮りたかったのだが、トラックが動くのを待っていたら完全に陽が傾いてしまった。方角的に朝日の方が綺麗に照らされそうだ。それを踏まえてもレインボースプリングが無ければかなり魅力的な写真になった気がする。
思い返せばこの道路でレールが途切れており、車両が蛸島駅に辿り着くことは永劫に無いのか。諸行無常。
蛸島駅は能登線の廃駅の中でも特に見応えあり。廃線歩きも出来て一石二鳥。文句なしでおすすめの場所だ。
さて、6回に渡って記事にした廃駅探訪も今回で一区切り。
もう少し早い時間から動いていればコンプリートできていたかもしれないのが惜しい。この記録が誰かの旅の参考になれば幸いだ。
蛸島駅訪問後、無計画で半島の先端へ寄ってしまったため、夕飯にしようにも営業している店自体が無い状態に陥った。輪島に戻ればどうにかなるかと考えたが個人店の多くは昼のみの営業が多く、どうにもならない。幸い、道の駅にて閉店間際のゴーゴーカレーにありつけたのだが、普段は気にもしないチェーン店のありがたみを実感することができた。本場のゴーゴーカレー美味しゅうございました。