厳密にいえば戸倉温泉と上山田温泉とふたつの温泉郷の総称らしい。
そこそこ名の知れた温泉郷ではあるものの昭和50年代には年間130万人が訪れていたらしいが、2019年度では57万人余りに減少しているそうだ。
善光寺参りの精進落としの湯としても知られている。
寂れた温泉街にありがちな男性団体客が夜の街に繰り出すというスタイルで発展した経緯を持つ。そうと来れば外せないのが歓楽街だ。
のっけから怪しさ全開フルスロットルなアーチが迎えてくれる。
アーチの先々は路地という路地に怪しいスナックがひしめき合っていた。
昼間の訪問ということでどの店も閉まっている。
しかし意外なことに廃業していない店もそこそこありそうだ。
正直な話、もっと寂れているかと思ったのだが少し拍子抜け。
ただし昭和パワー溢れる看板達は想像を超えていると言えよう。
おぉ、これが噂に名高い「おしぼりうどん」。
辛み大根をすりおろしたに味噌を溶かした「おしぼり」に茹でたてのうどんをつけて食べる郷土料理だ。
ここにも怪しいアーチ。
新世界とか銀座というありがちな名前も昭和らしい。
個性的な看板を眺めながら歩く。雨が降っていようが関係ない。
奥に進めば進むほどディープな夜の街の顔を覗かせる。
看板を彩る電装たち。暗くなったらどんな景色になるのだろう。
昭和情緒溢れる夜の街。「レトロ」がブームになっている昨今、昔と違った価値観で生き残りを図っている動きがあるらしい。
それにしても広いな・・・。
異国の匂いもそこら中に広がっている。
どういう商売をやっているか想像に難くない。
そういえばこの辺りは韓国人とタイ人で縄張り争いみたいなことがあったと聞く。
田舎の歓楽街に出稼ぎに来るアジア人は珍しい物ではないが、2022年の日本の社会情勢を見ると以前ほどの旨味は無くなっているように思える。
まっ、私みたいな貧乏旅行者がとやかく言えることではないけどね。
このアーチは文化遺産もの。
すいぞくかんって何だろうと思ったら酔族館という駄洒落でした。
ここの場所は夜にならないと本当の姿が見えてこないのだろうね。
昼間に行っても広大な寂れた歓楽街を見学することしかできない。最も私はそれで満足なのだが。昭和遺産としていつまでも残っていてもらいたいものだ。
温泉街から少し離れるが駅前にもこんな素敵なアーチがある。
駅前は中型の温泉旅館が数軒あるだけで今も昔も温泉街としての華は新世界通りに行かないと味わえない。温泉街の情緒と危ない怪しさが同居するこの街は令和の時代をどう生き抜いていくのことやら・・・。