廃屈な日々〜旅と廃墟の回顧録〜

静岡県を中心にちょっと違った旅の記憶と記録。

不二阿祖山太神宮 富士吉田のカルト神社

富士山麓の古代王朝

2024年。とあるスポーツ選手と歌手の方の離婚が発表された。

その時に耳にしたのが世界平和人道支援団との関わり。この活動というのが宗教団体として知られる不二阿祖山太神宮のものであった。この団体というのがかな〜りオカルトめいており、せっかくの機会?ということで参拝に向かった。

 

富士吉田の市街地から数キロの山間に位置する。アクセスは良い。

不二阿祖山太神宮は2009年に設立された新興宗教団体。300万年前に天皇を頂点とする「富士王朝」と天皇家所縁の「不二阿祖山太神宮」があったと主張する場所だ。

 

境内で真っ先に目が入る藁でできた三本の鳥居。

何とここ電磁波の影響を弱めてくれるそうで・・・。頭に巻いたアルミホイルを巻いた人にも安心な場所。ちなみに電波が脆弱で知られる楽天モバイルも普通に繋がりました。

 

地面に描かれたマーク。

 

歩くだけで気の乱れが調整されるということ。

 

こんな感じで皆様歩かれておりました。

3周歩いて私の肩こりには効果が無かったものの、ガイドのおじさん曰く感じ方には個人差があるそうだ。

 

こじんまりとした本殿に一礼二拝。

 

主祭神は宇宙を想像された方だそうです。

 

唐突に現れるムー大陸の絵文字。

 

大地の偉大なるエネルギーを感じ、シャンバラにも繋がる地神様。

 

世界最大の宇宙エネルギーのある所。

 

中には壺?

 

・・・まさか神社でムー大陸やシャンバラという言葉を目にすることがあるとは。

 

売店には団体で収穫された玄米を中心に商品が並ぶ。

 

世界平和人道支援団の募金も発見。紙幣がチラリ。

 

なんちゅうか存在自体が不思議だと思いますけどね。

 

売店の玄米はこれでしょうね。

 

”宇宙天地が創造されし時”

・・・のっけから全力投球って感じ。

 

古代王朝というだけあって格式高い五本指の龍。

 

どこを見渡しても電波というのかカルトめいておりますな。

 

社務所には月刊ムー。流石です。

 

令和の世の中で存在自体が奇跡というのか、信じる人もそれなりにいるのが凄い。政治家やアスリートが肩入れするということで統一教会みたいなことにならなければいいけど。そういえば、あの安倍昭恵さんとも関わりがあるそうで・・・きな臭い場所にこの人ありって感じで凄いっす。

森の廃墟コテージ 箱根

著名な建築家による廃コテージ

廃墟コテージを目指して箱根にある九頭竜の森へ向かう。

 

これがなかなかの僻地で最寄りの駐車場から20分程度の徒歩を要する。

さらに九頭竜の森は有料の施設で600円の入場料を払わなければいけない。

 

九頭竜の森は1971年に「樹木園」として開業。2010年に現在の名前に変更となった。季節の草花や野鳥観察のほか、白い鳥居の白龍神社と湖に浮かぶ鳥居の箱根九頭竜神社が目玉の観光スポットだ。

 

広大な敷地のあちこちに使われなくなったコテージが点在し、夕暮れ時と相まって少し不気味な雰囲気。湖畔ということで13日の金曜日を思い出す。

 

園内にある案内図を参照に目的地を発見。

地図上では休憩所となっているこの建物。現在は使われておらず室内には入れない。

外観は茅葺き屋根の朽ちっぷりが見事。鉄骨の下地が剥き出しで緑の息吹が芽吹いている。

 

汚れたガラス窓から中を覗くと見事な廃墟美の世界。

 

特徴的な円形の天井に色褪せた派手目の椅子。実に神秘的で退廃的な空間だ。

 

窓から窓へ移動してガラスにレンズを密着させて撮る。中に入れないのが惜しい。

 

使われなくなった椅子は朽ち果てるのみ。

奥を覗くとさらにゴージャスな部屋のある予感。白いレースのカーテンが柔らかい光で包んでいた。

 

このコテージは3棟が連なってひとつの建物として繋がっている。

 

入り口。

 

村野藤吾さんという方の建築事務所だった模様。

調べてみるとかなり著名なお方。赤坂迎賓館など無知な私でも知っている建物を設計した方だ。この九頭竜の森を管轄しているザ・プリンス箱根芦ノ湖のホテルも村野藤吾さんが設計したみたい。

 

廃墟化したまま放置されているのはちょっと勿体ないと思う。

 

こちらのコテージはチャペルを思わせる椅子が並んでいた。

 

閉館時間が迫っていたので今回はこれで打ち切り。せっかくなので九頭竜の森の名所を見て帰ろう。

 

ふむ、夕暮れ時の美しい景色が見れた。

私の想像した芦ノ湖の鳥居とは違う場所だったが入場料を払った価値はあった。よくテレビや雑誌で見る鳥居は箱根神社のものなのね・・・。考えてみたら箱根はしょっちゅう通るものの、普通に観光したことがない。こんな人生ですけどそれなりに楽しんでおりますよ!

 

 

 

廃墟 ウェディングハウス大頭龍 静岡県菊川市

訪問日 2024年2月

ウェディングハウス大頭龍は静岡県菊川市にあった結婚式場。廃墟検索地図では1980年前後に開業、2015年頃に閉業とある。

 

神社の敷地内に併設された式場。

それなりに管理されている物件のため、人為的な破壊など外観に大きな損傷は見られていない。それでも外壁は9年という月日を感じる程度には痛んでいる様子だ。

 

外灯の塗装は剥がれ水平が保たれていない個体が目立つ。

 

建物に掲げられた「売物件」の看板。

 

近くには茶畑が広がる。

 

夫婦円満の象徴である鶴。

 

薄くなったイラストが物悲しい。

 

中はどうなっているのだろう?

 

ガラス越しに見る静寂の世界。

 

ソファや灰皿など一部の備品を除き片付けられている。

 

自動ドア付近は雨漏りが目立つ。昨日まで続いた雨の雫が滴り落ちていた。

 

高い吹き抜けの天井。縦構図でも美しい。もっと広い画角のレンズを持って来れば良かったな。

 

隣接の神社と繋がっていると予想。

 

予想通り!

 

いい感じにエイジングの進んでおります。

 

建物の方も雰囲気良し。

 

ここから多くの幸せな家庭が生まれたと思うと感慨深い。祝福に溢れた場所だったということも廃墟にとっては大事なスパイスなのです。

廃墟 荒井注のカラオケハウス 静岡県伊東市

元ドリフ所有 伝説の未成廃墟

訪問日 2024年2月

「何だ、バカヤロウ」

昭和の芸能界で頂点を極めたドリフターズの元メンバー荒井注。その晩年に建設したカラオケボックスなのだが、建物の完成後にカラオケ機材が入らないという設計ミスが発覚。設計した業者は逃げ出し、開店を断念するというコントみたいな逸話を持つ。

 

彼の没後も度々テレビで取り上げられていた記憶のある話だ。

廃墟としても有名な物件であったが、建物そのものに魅力があったかと聞かれれば首を傾げる。荒井注が所有していた事とカラオケ機材に関する珍騒動をセットに楽しむ物件だった。

 

そんな平凡な物件だったのは2年前まで。

 

2022年頃に2階部分の廊下が抜け落ちて崩壊したのが発見された。めぐる季節を経て廃墟としても魅力溢れる物件となったのだ。

 

この大迫力!

廃墟の世界にも大器晩成という言葉があった。

 

抜け落ちた廊下部分は完全落下手前で留まっている。これがまた絶妙な落ち具合!

 

昔は廊下越しにカラオケ部屋が覗けたのだが、現在では大きなリスクを伴うこと間違いなし。

 

そして、やっぱり細い扉。

現在の小型化された機材ならば問題なかろうが、それでもソファやテーブルなど搬入に支障がありそうだ。

 

1階へ降りて裏へ回る。

 

入り口にあるお決まりの不法投棄を抜けると・・・

 

想像以上に芸術的な崩れ方!

 

たどり着けない扉に儚さすら覚える。

 

何の面白味のなかった廃墟は360°どこを切り取っても絵になる素敵な物件へと変わっていった。

 

螺旋階段のように渦巻く廊下。

 

1階部分の内部をガラス越しに覗く。

駐車してある白い車は私のではありませんよ!

 

廃墟、3日会わざれば刮目して見よ。

直近だと2021年に訪れているが、まさかこんな面白いことになるとは思いも寄らなかった。廃墟に旬があるとすれば今がその時だろう。

 

カラオケハウスの道路を挟んで向かい側にあったぷるぷるランドというプール場の廃墟。こちらは逆に簡易的なバリケードが敷かれて簡単にはいかなくなっていた。

 

伊豆が廃墟の宝庫なのは間違いない。

年々厳しくなる廃墟探索への風当たり。黒寄りなグレーの趣味であることは確かだ。近年は外観から楽しむ程度に抑えていたが、こういう成熟した姿を見てしまうと廃墟への熱が高まりそうで少し怖い。コンプライアンスは充分に気をつけていこう。

 

野生の王国 リサイクル江戸屋 国道沿いのゴリラ

パンダもいるよ。 ※いません

静岡県伊東市国道135号線を走っていると嫌でも目に付く謎のゴリラ。

インパクトの強いゴリラ像から目を移すと特徴的なゼブラ柄の建物に「野生の王国」「リサイクル」「江戸屋」「激安」という文字が見える。

 

白熊もいるね・・・。

一体、ここは何だろうかと思った人も多いはず。

 

実はここ土産物店に併設された私設の博物館だった場所。

伊豆高原エリアは現在でも珍博物館の宝庫だ。その中でも一際異彩を放っていた。

 

歴史としては1980年頃に「野生の王国」として開業。江戸屋海産という会社の土産店に併設。動物の剥製の他、架空の怪獣や西洋の甲冑に加えて国内外の珍品が陳列・販売されていたということ。

 

特に目玉だったのがパンダの剥製。その額なんと4800万円!

 

「野生の王国」は2005年に閉業したが、展示物ごと買い上げられリサイクルショップ「江戸屋」として再オープン。親会社だった屋号そのままだが関係は不明。開店当初は奇妙な展示物が多く残り全国でも類を見ないカオスな店だったようだ。

 

両脇に「パンダもいるよ」の文字

残念なことにパンダの剥製は野生の王国閉館と同時に親会社の江戸屋海産が引き取ったらしく、「パンダもいるよ。」という文字とは裏腹にいない状態が続いていた。パンダの現在は築地場外市場にある「江戸屋海産椎名」という店でその姿を拝むことができる。(いつか行ってみたい)

 

UTABIYって何?

私自身の記憶では江戸屋は2019年〜20年当初まで営業していたような気がする。リサイクルショップ江戸屋には何度か行こうとしたことがあったものの、店が開いていなかったり、開いていても店員が不在であったり、結局行けずじまいで終わってしまった。

 

そんな具合でリサイクルショップとしてかなり癖のある店だったようだ。

 

よく見ると戦闘機を左手で握りつぶしている。キングコングがモチーフなのは間違いなさそう。

 

哀愁漂う後ろ姿。

伊豆半島の大動脈国道135号線を見守っています。

 

店先の看板に野生の王国時代の名残が見える。

 

駐車場内には建物の解体資材やガラクタが散乱。

 

窓は割られているものの中はそのままの状態だ。

 

雑多なリサイクルショップの面影を残しつつ、がらんとなった店内が寂しい。

 

熊さん・・・よく見るとデスノート持ってんぞ!

 

UTABIYと書かれている白熊。

 

遠くで見ると可愛い奴だが、近くで見ると鋭い牙と赤く染まった爪が猟奇的。固定用のロープが拘束されているように見えて雰囲気が増す。

 

黒い涙を流す白熊。

その心に宿るは野生の王国を忘れた人間への復讐か? なんちゃって。

 

やたら目立つのが冷蔵庫のゴミ。

バックボーンが土産物店で海産物も多かったためか。

 

ゴルフカートやコンテナなど何でもありな駐車場。

 

犬のマークの宅急便。懐かしい。

これ、いつの間にか見なくなったな〜と調べてみたら「フットワークエクスプレス」という会社で2001年に経営破綻していた。その後は民事再生外資の子会社化を経て現在は日本郵便のグループ会社となっているということ。現在でもフットワークのトラックが走っていることもあるらしく、いつの日かその姿を拝みたいものだ。

 

リサイクルショップ江戸屋の閉業は2021年と3年が経過した。

いつか撤去されてしまうと思うと寂しいものがある。是非ともまぼろし博覧会のグループが引き取ってくれることに期待したい。そういえばあそこの姉妹館であるねこの博物館には大量の剥製があったな・・・まさか、ね?

”伊豆の瞳”一碧湖に残る廃墟

”伊豆の瞳”と称される静岡県伊東市にある一碧湖。

 

湖に浮かぶ鳥居が有名。

湖には廃墟が付き物と言って過言ではない。今回は一碧湖そばの廃墟群を数年ぶりに見に来たのだが・・・

 

綺麗さっぱり無くなっている!

 

お洒落な雰囲気漂う湖畔に相応しくない廃墟という負の遺産は浄化され駐車場へ変わっていた。

 

そんな中で唯一残っている物件。

 

喫茶「伊豆の瞳」

二階建ての建物で宿泊施設と喫茶店だったと思われる物件。

廃墟検索地図を参照すると宿泊施設は「ペンション湖畔」という名前で1997年まで「伊豆の瞳」は2000年頃まで電話帳に記載があった。オープンの詳細は不明だが、建物の構造からして1960年代から70年代と思われるということ。

 

伊豆の瞳の外観。

入り口窓のガラスは割れ、年代ものの自販機の上に朽ちた看板が確認できる。

 

建物全体に蔦が張って廃墟らしい雰囲気を盛り上げる。

 

ディスカウントの文字が特徴的な自動販売機。

様々なメーカーの飲料が並ぶ。1缶110円の時代は消費税3%の時代だったから短い。ディスカウントというくらいだから5%の時代の物だろう。ペプシも青いし。

 

割れたガラスから店内を覗くことができる。

 

吹き荒れる風に負けじと店内の状態は良い。経年変化こそ最強の進化、退廃的な美しさを纏う。

 

カウンターとテーブル席。いわゆる純喫茶的な渋さがある。

 

壁に掛かるは有名人のサイン色紙。ペンション湖畔の文字が確認できる。

 

こちらが宿泊施設の玄関。

現在イメージするペンションとは少し違う。旅館や民宿と言った方がしっくりくるかな。

 

侵入者を警告する文章の貼られた玄関。

 

割れたガラスを覗くと極上の廃空間。

 

もう少し広く写しても良しかな。

 

縦構図。

 

望遠レンズで抜いてみたが、低めのアングルで撮れば非常口が大きく写せた気がする。修行が足らんね。

 

建物横。蔦は少なめ。

 

旅館にある例のスペース。

 

湖畔は随分と小綺麗になりましたな。

以前は渋めの土産店と年代ものの桟橋しかなかった。伊豆ジオパークだか何だかで伊豆半島は随分と漂白された印象だ。

 

鳥居はこの場所からだと豆粒程度にしか映らない。600mmレンズでこの大きさ。

 

平日は特にのどかで良い。

所々に残るレトロな空気を探して散歩するのもオススメだ。

芥川商店街 大阪府高槻市

sun road akutagawa

中国地方への移動中に見掛けた良さげなアーケード商店街。

時刻は21時過ぎ。日が跨ぐ前に移動を終えたかったが寄らずに後悔するより寄って後悔だ。

 

JR高槻駅

ここは高槻だったのか?

何か私の知っている駅前はもっと広かったような・・・。

 

まずは前菜として芥川商店街の向かいにあるアクトモールを歩く。

 

アクトモールの片側は平和堂の大型店。

 

調べてみると2004年2月オープン。今年で20周年を迎える新興の片蓋式アーケード。

 

イルミネーションが冬景色を彩る。

都会的な雰囲気で洗練された商店街だった。

 

店舗を見てもチェーン店が多く、私の望む昭和的な店は少ない。唯一目に止まったのが大阪らしいコレ。

 

アクトモールを抜けると私の知っている高槻駅前に着いた。

高槻市大阪市京都市の間に位置し、ベッドタウンとして賑わう街。自然も豊かでありつつ、都会的な面も併せ持ち「とかいなか」を自称している市だ。

 

来た道を引き返し、本命の芥川商店街sun road akutagawaへ向かう。

 

期待通りの昭和然とした全蓋式アーケード商店街。

 

新しめの店舗もあるが歴史のありそうな店が多く占めている。それもそのはず、芥川商店街は高槻市で一番古く大正末期から昭和初期にルーツを持っている歴史ある場所だ。

 

床面は新しめ。天井を見ればしっかりとトタン屋根。頑丈そうな作り。

 

「将棋のまち高槻」の幟が並ぶ。

 

横から眺めると思いのほかトタン屋根の主張が強い。

 

昔ながらのレトロな店。

 

看板にも注目。

 

商店街内では帰路に急ぐ人とすれ違う。

夜でも明るいのがアーケード商店街の良い所。写真を撮りたい自分にとっても助かることだ。

 

この辺りは路面修理中。ちょうど半分が以前のものと思われる。床面が新しくなるだけで印象が大きく変わりますな。

 

終点。

大阪のアーケード商店街って昼間に行くと人が多いためゆっくり過ごせないが、夜間はさすがに人もまばらで良い雰囲気だった。

 

商店街手前の歴史ある寿司店

 

鶴のマークが可愛い。

 

チラ見するアーケード。

車の通らない商店街って夜間は明るく安全で生活道路としても優秀。

 

私も交通安全に気をつけて進もう。