湖畔に近い白樺の森の中にある小さな教会。
幻想的な雰囲気をそのままに役割を終えた現在も佇んでいる。
場所は標高1530mの蓼科高原、女神湖近く。
秋の足音が迫る夕暮れ時。
このまま湖面を眺めていたい気持ちを抑えて探索を開始する。
なんとか日没前に目的地に辿り着くことができた。
ここは教会といってもホテルに併設された結婚式専用の所謂チャペルだ。
ホテルグランビュー蓼科。
1976年に創業し、2000年代には断食体験をする施設へ業態を転換させたそうだが10年も待たずに廃業したらしい。
周囲にはホテルの関連施設を思わせる廃墟で溢れていた。
ホテル跡地から歩いて200mくらいだろうか。白樺の森の中に小さくて可愛らしい教会が残されている。
昔は近くにマリア像があったようだが・・・
見つかったのはライオンくんだけであった。
自然に囲まれ、街中のチャペルとは比べ物にならない雰囲気が残る。
湖畔にある白樺の森の廃教会と文字に起こすと設定を盛りすぎたミステリ小説みたいだ。
中に入るとこれまた凄い。
幻想的であり、儚さも残る。廃墟美とは詰まるところこういうことなんだよな。
所々に残るは幸せの欠片たち。
ここで挙式を挙げたふたりにとっては今でもかけがいのない場所であるはずだ。
美しいステンドグラスが演出されている。
教会の中は真っ暗闇で光源となるステンドグラスの存在はありがたかった。
さて、2階へ行こう。
ゲストは入らない場所だけあって物置として使われていたようだ。
蔦の這い寄るステンドグラス。
・・・よく見たら葉っぱじゃなく模様だよこれ。
式の最中は写真映えしそうな場所だ。
廃教会とは儚くも美しい。そして切ない気持ちにさせてくれる場所だ。
私は廃墟のジャンルでは廃校が好きなのだが、ここはチャペルということもあってそれに通ずるものを感じた。
どちらの場所も人生の中で美しい思い出となり、人の心に残る場所なのだと思う。もちろん全ての人がそうだったとはいえないのだが・・・
個人ブログを検索すると、ここで結婚式を挙げた者が当時を懐かしんで訪れている様子が記録されている。
結婚式なんて大金を賭ける価値があるのかなと思っていたが、こういう幻想的なロケーションなら私も挙げてみたいと思ってしまった。
まずは相手を探さなきゃ・・・ね。
帰り際に星の撮影をしようと日没を待っていたが急に曇りだして撤退を余儀なくされた。この辺りは星空が良く見える。またの機会に訪れて白樺の森にある小さな廃教会にも顔を出してみたいものだ。